ゴジラ松井が長嶋茂雄さんの遺言「巨人監督」をためらう障害

煙たい存在の原辰徳前監督

最初に話題になったのは、山口オーナーの意向だ。

当初、山口オーナーは松井監督を実現する前の地ならしとして、桑田二軍監督の昇格人事で戦力を整備するという構想を温めていたという。

だが、これに待ったをかけた人物がいた。現在は巨人のオーナー付特別顧問となっている原辰徳だ。「8月中旬に原と山口オーナーが会談したのですが、原はこの席で桑田を監督に昇格させる山口案に猛反対し、阿部の続投を強く進言したんです」

こう明かしてくれたのは巨人の元球団幹部。

2000年代以降、17シーズンにわたって監督を務め、歴代監督として球団史上最多の勝利数を記録した原は監督人事に強い発言力を持つようになっていた。

実際、'15年オフに監督となった高橋由伸がわずか3年で退陣を余儀なくされたのも原の暗躍があったためだ。

原は当時まだ健在だった“読売のドン”渡邉恒雄氏に「由伸では勝てない。私にやらせてください」と直訴し、3度目の監督就任にこぎつけている。

「球団としては時間をかけて由伸監督を育てる計画だったんです。もともと、原の第2次政権の後継者として由伸に監督就任を要請した際、彼自身は現役続行を希望していた。球団事情から無理を通して監督就任を引き受けさせた経緯があるのに、その由伸を追い出して監督に返り咲いた原の越権行為は今でも許せない」(前出・元球団幹部)

そして今回、松井の監督就任問題でも、巨人内で絶大な影響力を持つようになった原の存在が最大の障害となっているのだという。

松井と原の関係は、松井のメジャー挑戦によって決裂したといわれている。