日向坂46“空席祭り”が示した痛烈な現実 世代交代はなぜ進まないのか?

地域戦略とメディア露出

次に「地域戦略とメディア露出の地盤沈下」。平日開催・地方公演が直撃しやすい層が存在する一方で、ローカルでの番組露出や地域プロモーションを通じて生活圏に入り込めていれば、ある程度は補えるはずだ。

だが現状は他グループと比べて生活圏浸透が弱く、新規層の動員に課題が出ている。

最後に「ストーリーテリング不足」。乃木坂46や櫻坂46の近年の復調は、新世代の台頭を物語として描き、メディアとファンが、その物語に乗ることで生まれている。

日向坂46は新体制を掲げる一方で、5期生や4期生の“育ち方・台頭の軌跡”が外部にとって魅力的な形で提示されていない。ファン内の熱量は維持されていても、それが外に届きにくいのだ。

一方で、転機になりうる機会もある。11月に開催される「新参者」ライブは、乃木坂6期、櫻坂4期、日向坂5期という“新世代同士の対面”の場だ。

ここで日向坂5期生が他グループの新世代ファンに“発見”されれば、外部からの注目を呼ぶ大きなチャンスとなるだろう。

では具体的に何をすべきか。

単純接触回数を増やすべき?

まずは5期生を主軸にした「強制露出」。センター経験、ソロ曲、SNSを軸にした個別プロモーションを積極投入し、“誰を観に来るか”が明確な動線を作る。

次に「地方密着の番組/イベント」投入。平日開催の弱点を埋めるため、ローカルメディアとの連携を強める。地域の“顔”を持つことで動員の底上げを図る。

そして「物語化された育成戦略」の提示。ドキュメンタリー形式の短期連載や映像コンテンツで、世代交代の“過程”を演出する。物語はファン以外を巻き込む力を持つ。

最後に「イベント設計の再考」。『ひなくり』や年末イベントはブランド力が残る場。そこで新世代が「ここで輝いた」という印象を作れれば、翌年のツアー動員に波及するだろう。

今回の福岡公演の空席は、ただの“当日の話題”に留まらない。世代交代と露出戦略、地域施策の組み合わせに抜本的な再設計が必要だという警鐘だ。

髙橋キャプテンの言葉を重く受け止め、運営とメンバーが次の一手でどれだけ速やかに“物語”を描けるかが日向坂46の復調の鍵となるだろう。