小泉&高市人気で自民党の単独過半数回復を画策「解党的出直し」とは名ばかりの“古い自民党”体質

所信表明演説後に衆院を解散

残った小泉氏が2時間にもわたって説得を続けた末に、首相がポツリと漏らしたのは「もう疲れた。捲土重来を期すという考え方もあるだろう」というものだった。

折れた首相は翌7日夕、本来なら解散をぶち上げるはずだった会見で、正式に退陣する意向を表明した。

党員党友を含めて、いわゆる「フルスペック」の形で行われる自民党総裁選は、9月22日告示、10月4日投開票の日程となった。果たして、今後はどのような展開をたどるだろうか。

実は、総裁選を経て「挙党態勢を構築する」とする麻生氏の腹の内は別にある。

麻生派の中堅議員がこう打ち明ける。

「知名度の高い小泉氏を首相に据えて、麻生派が政権の中核になった上で、できるだけ早く衆院解散に踏み切り、自民党の単独過半数を回復することだ」

そのためには、幹事長を麻生派でもぎ取るとともに、自民党から参政党や国民民主党に流れたとされる保守層を取り戻す必要がある。

先の茂木氏との会食では、小泉政権になった場合の人事構想も話し合われていた。

中堅議員によると、幹事長には麻生派重鎮の鈴木俊一総務会長を配置。保守層の支持が厚い高市氏は外相など重要閣僚に充て、小泉氏と並ぶ新政権の「二枚看板」とし、茂木氏は副総理兼財務相として入閣する腹積もりのようだ。

その後、すでに言い含められている小泉氏は、高市氏の要職起用については受け入れたという。

「臨時国会は10月中旬召集の見通しなので、早ければ14日に小泉氏が首相に選出され小泉内閣が誕生する。そうすれば、20日に所信表明演説を行い、そのまま衆院解散する。投開票は11月9日だ。選挙は新幹事長の下、麻生派で仕切ることになる」

中堅議員はそう話す。

麻生氏は、小泉首相を誕生させることで自身はキングメーカーとして振る舞うとともに、「小泉・高市」人気によって自民党の単独過半数を回復させようと目論んでいるのだ。