小泉&高市人気で自民党の単独過半数回復を画策「解党的出直し」とは名ばかりの“古い自民党”体質

小泉、菅氏が公邸に駆けつけ退陣を要求

だが、このシナリオを完遂するには、石破首相を何が何でも退陣させる必要があったが、首相は最後の粘り腰を見せていた。麻生、茂木両氏の下に「首相は解散するつもりらしい」との情報が入ってきたのは、会食の席も終わりに差し掛かってきた頃だった。

まさにその頃、石破首相は東京・紀尾井町のホテルニューオータニ内の中国料理店『大観苑』で、自らに近い村上誠一郎総務相、岩屋毅外相とテーブルを囲んでいた。

3日夜にも同じメンバーで秘密裏に首相公邸で会合を持ったが、この協議に関わった政府関係者によると、実はこの時点で首相は揺れていた。

「もう潮時かな」と弱気の言葉も漏らしていたが、村上氏が「何を言っているんだ」と衆院を解散するよう説得。押されるように首相は「分かった」と応じ、解散への決意を固めたという。

5日の協議には、米国から帰国した首相最側近の赤沢亮正経済再生相や、平将明デジタル相、青木一彦官房副長官らも同席。

内閣法制局や内閣総務官室の見解として、国会召集しなくても衆院議長に天皇陛下の解散詔書を届けさえすれば、解散の効力が生じることを全員で確認した。

さらには解散の閣議決定をする際に署名を拒否する閣僚が出た場合は、ここにいる出席者で罷免閣僚のポストを兼務する段取りまで付けたという。

解散の大義については、麻生派や旧茂木派の中堅・若手議員、旧安倍派を中心とする裏金議員らが「石破おろし」を仕掛けている実態を踏まえ、「『古い自民党』に戻してはならない」として「政界刷新解散」にすることで決定。これを受け、首相は秘書官に、7日夕に臨時記者会見を開くよう指示した。

こうして「8日夕解散、16日公示、28日投開票」という日程が固まると、瞬く間にこの情報が永田町を駆け巡った。

だが、首相が高揚したのはここまでだった。「このままでは自民党が本当に崩壊してしまう」との危機感の下、小泉氏が菅氏と共に6日夜、公邸に駆けつけて自発的に退陣するよう強く促したのだ。