新内閣支持率わずか20%「冷えたピザ」と揶揄された小渕恵三のしたたかな政治家の顔

「俺はもともと考えがないから、対立はない」

ためか、首相就任から2カ月後、金融再生関連法案の修正で与野党協議が紛糾したときも、「俺はボキャブラリーが貧困だから、いい言葉がなかなか出てこないのだ。与野党の皆さんには、お疲れさんの一言だ」でかわしている。

翌年6月に国会の会期延長をめぐり、官房長官と対立しているのかと記者団に問われたときも、いわく、「俺はもともと考えがないから、対立はない。無、空なんだ」などと、煙に巻いたものであった。

そして、自らこうも言ったことがある。

「俺はずっと以前から、謙虚であれ、誠実であれ、勇敢であれの“三あれ主義”を実践してきたんだ」

しかし、小渕が単なる「真空総理」でないことは、政権発足から半年ほどすると明らかになった。

政権運営で次々と大胆な決断力を発揮、海外メディアは「冷めたピザ」に手のひらを返し、「風味が出てきた」などと報じたのである。

じつは、筆者もかつて早大雄弁会に所属しており、小渕とは何度か飲食を共にしたことがあった。

小渕は酒が進むとそれまでとは一変、したたかな“政治家の顔”を見せたものである。