“捏造”でも「面白い話が正義」古田新太が役者としてのポリシーを語る

「自分で工夫するやつが苦手なんですよ」

古田新太 (C)週刊実話Web
――ベートーヴェンの役作りで、こだわった点はなんでしょうか。
古田「主役のシンドラーが、ベートーヴェンを尊敬するあまり、かなり偏愛してます。
だからベートーヴェンは、天才肌の勝手気ままな人間として作っていったほうがいいんだろうな、と。
意見を聞く耳を持たない…というか、実際に耳が不自由なんですけど」

――耳の不自由さを演じる際に、工夫はしましたか?
古田「ベートーヴェンは後天的に耳が不自由な方なんで、ちゃんと発音はできる。
他の人たちが筆談した言葉を一旦読んでから怒る、みたいなズレを演じるのも楽しめました」

――ベートーヴェンを演じてから、彼のイメージは変わりましたか?
古田「ベートーヴェン本人よりも、シンドラーをはじめとした周囲の人間が気持ち悪いと思いました。
ベートーヴェンが死んだ後で巻き起こる伝記を巡る騒動は、『みんなどういうつもりでベートーヴェンと付き合ってたんだよ』って思いましたね」
古田新太 (C)週刊実話Web
――そんなベートーヴェンと古田さんは、共通点も多いのでは? 破壊者という点でも…。
古田「いや、それはない。オイラはどの現場に行っても、監督や演出家に言われた通りにやる。そうすれば帰れる仕事だからね」

――視聴者側からすると、アドリブを入れそうなパンクな俳優というイメージでしたが…。
古田「アドリブとか全然入れないし、やれと言われた通りにやる。自分で工夫するやつが苦手なんですよ」

――それは意外です。
古田「頑なな俳優に限って工夫しますからね。
『役が抜けない』とか言うなら、じゃあ(解離性同一性障害の犯罪者を追ったノンフィクション『24人のビリー・ミリガン』の)ビリー・ミリガンの24重人格を演じて、どの人格の役が抜けないか言ってみろよこの野郎!ってなっちゃいます」