自民党総裁選ついに最終盤 小泉進次郎首相誕生なら「10月27日総選挙」へ

官財界と米国の“お墨付き”

短期決戦狙いなのは、実は小泉氏の最大の後ろ盾である菅義偉前首相もそうだった。菅氏に近い無派閥の中堅議員によると、「菅氏も早期の衆院解散・総選挙に向けて手を打ってきた」という。

「まだ43歳と若い小泉氏は実績と経験で劣る。だから菅氏は小泉氏に『まず政策を固めろ』と指示し、菅内閣時の『秘書官軍団』を送り込み、政策作りに当たらせていた」(同)

秘書官軍団とは、菅内閣で首相秘書官を務めた財務省の大沢元一、外務省の高羽陽、経済産業省・門松貴の各氏らを指す。いずれも将来の次官候補で、9月初めから陣営に入り、村井英樹官房副長官、小林史明衆院議員らと政策の肉付けを進めてきた。

「菅氏の調整は素早い。霞が関に先物買いさせただけでなく、経団連トップとも話を付けた。原発ゼロの主張を緩めたので、財界は進次郎支持だ。米国もそう。進次郎は『日米一体化路線を進める』と言っている。だから米国も『進次郎イエス』だ」(同) 

9月10日には小泉氏の米国留学時代の恩師であるジェラルド・カーティス氏が来日。小泉氏は、米大使館や在日米軍幹部も交えた席で“日米新政権の結束”を確認した。小泉氏はすでに霞が関、経済界、米国のトライアングルによる“お墨付き”を得ているのだ。

短期決戦への船出を確実にするには、挙党態勢の構築、すなわち人事も重要になってくる。総裁選序盤の世論調査で、高市早苗経済安全保障担当相が急激に追い上げている状況を受け、菅氏だけでなく、最長老の森喜朗元首相の動きも忙しくなってきた。

1回目の投票で決選投票に進み、そこでさらに勝ち上がるために必要な国会議員票を集めるには、「人事こそがものを言う」(同)からだ。