小泉進次郎vs下位連合 “五長老”牛耳る刷新感なき自民党総裁選

重鎮らは「小泉政権は短命」と予測

また、麻生氏と岸田首相は、茂木氏を含めた「3頭体制」による主流派の枠組み維持を画策する。麻生派で河野氏、岸田派で林氏を立てる一方、茂木氏は自ら出馬し、決選投票では、まとめて「下位連合」を組む方向で検討が進んでいるようだ。

麻生派中堅議員は「小林陣営も取り込む」と明かす。小林氏に対しては、同じ当選4回の福田達夫元総務会長や大野敬太郎衆院議員らの安倍派や無派閥の中堅・若手議員らによるグループが支援しているので、従来の「数の論理」とは無縁に見える。

だが、小林氏は麻生派重鎮の甘利明前幹事長の後押しを受けているだけではなく、岸田首相とは東京・開成高の先輩後輩の仲だ。8月21日に官邸を訪れ、首相に出馬のあいさつをした際には「岸田政権の政策を基本的に継承します」と約束し、決選投票に進んだ場合の支援を求めたという。

「河野、林、茂木、小林、場合によっては上川もこっちの陣営だ。『2〜6位連合』を組んで、決選投票に進んだ候補にみんなで乗る。小泉と石破の決選投票になったら、全員で石破に乗ってもいい」

前出の中堅議員はこう話すが、そのための麻生・岸田・石破会談も「一番いいタイミングでセットする」(同)という。 

一方、小泉陣営も権謀術数さでは負けていない。菅氏に近い無派閥議員によると、菅氏は自身に近い加藤氏とお盆明けに会談し、総裁選での連携を確認したという。

「加藤氏は決選投票で進次郎に乗る。官房長官か幹事長含みだろう。菅氏は20日に茂木氏とも会談した。菅氏による一本釣りだ。茂木氏は麻生氏からくら替えするつもりではないか」(同)

先の自民党関係者は「加藤も茂木も腹の底では、経験不足の小泉政権は長くないとみており、来年夏の参院選後に再びチャンスが来ると思っている。齋藤も同じ腹だから、いずれも小泉に乗る」と見通す。

最終的に総裁選の構図が固まるのは、9月上旬だ。「刷新感を出す」と言いながら、実力者が牛耳るような総裁選なら、自民党に対する国民の不信感は増すばかり。

どういう形で新総裁誕生=次期首相になるのか、国民はしっかりと注視していかなければならない。