小泉進次郎vs下位連合 “五長老”牛耳る刷新感なき自民党総裁選

小泉進次郎 (C)週刊実話Web
「私は総裁選に出馬しません」。岸田文雄首相は8月14日、官邸で開いた緊急記者会見で、突然の退陣表明を行った。

不出馬に至る最終局面の攻防が始まったのは8月2日夜だった。森山裕自民党総務会長が、渡海紀三朗政調会長と小渕優子選対委員長の3人で秘かに首相公邸に入り、首相に出馬を強く要請したのだ。

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事情を知る自民党関係者は、党四役のうち3人が、揃って首相に決起を促したのは「茂木敏充幹事長に強い不満があったからだ」と明かす。

「茂木氏が派閥裏金問題に真摯に対応していれば、党の信頼はここまで失墜しなかった。その茂木氏が総裁選に出ようとするのは納得がいかないというわけだ」

だが、首相が口にしたのは「麻生さんがなあ」の一言だった。首相の後見役で、唯一の派閥を維持する麻生太郎副総裁の支援がない限り、再選はあり得ない。首相はこの段階でも、なお支援の確約を得られていなかったのだ。

森山氏は6日夜、東京都内の日本料理店で麻生氏と会食し腹の内を尋ねた。話は明快だった。

「岸田は結果を出している。だが、石破や進次郎を潰さないと岸田は勝てない」

来たるべき衆院選に不人気の岸田首相のままでは、自民党は惨敗する。だから選挙に不安を抱く議員は、総裁選では非岸田でまとまる――。最後通牒に等しい麻生氏の言葉に森山氏は黙るしかなかった。

森山氏には首相の勝ち筋が、おぼろげながら見えていた。石破茂元幹事長は、無派閥議員らに影響力を持つ菅義偉前首相の支援がないと議員票が集まらないが、菅氏は石破氏をすでに見限っていたからだ。