小泉進次郎vs下位連合 “五長老”牛耳る刷新感なき自民党総裁選

水面下では派閥やグループがつばぜり合い

岸田首相が不出馬を表明すると、党内の動きは早かった。

「9月12日告示、27日投開票」の日程決定に合わせて、8月19日に小林鷹之前経済安全保障相が真っ先に出馬会見を開催。石破元幹事長、河野太郎デジタル相、小泉進次郎元環境相、茂木幹事長、林芳正官房長官、加藤勝信元官房長官、高市早苗経済安保相、上川陽子外相が続々と会見などで立候補を表明したり、出馬に意欲を見せた。

野田聖子元総務相、齋藤健経済産業相も検討中で、名乗りを上げるのは計11人と百花繚乱の状況だ。 

これだけ多いと本命不在に見えるが、永田町では「決選投票は小泉進次郎対小林鷹之の40代対決か、小泉対石破で本命は小泉」が支配的だ。

ここまで「筋読み」ができるのは、「派閥解消」や「党刷新」をうたいながら今回の総裁選も、結局は党内の実力者に加えて、派閥やグループが勝敗を決める構図に大きな変化はないからだ。

内情に詳しい自民党関係者が話す。

「実力者は、麻生氏と菅氏のキングメーカーを争う2人に、長老の森喜朗元首相と二階俊博元幹事長、そして岸田首相の5人だ。派閥も麻生派は健在で、解消したとはいえ、岸田派と二階派はほぼそのまま残り、茂木派は政策集団に衣替えして続いている。森山派もそうだ。雲散霧消した安倍派も複数の議員グループに分かれて、総裁選で誰を推すか連絡を取り合っている」 

関係者によると、小泉氏を全面支援する菅氏はお盆中に二階氏と都内で会談し、連携して小泉氏を支援することで一致した。

森氏は、安倍派時代に目をかけていた「5人衆」のうち世耕弘成前参院幹事長に、小泉氏の支援を要請。世耕氏は裏金問題で処分を受けて離党中だが、依然として30人以上の勢力を保つ「清風会」(参院安倍派)への影響力を維持しており、小泉氏支援で動き始めているという。