「力士は男らしく我慢強く」元大関・豪栄道 武隈親方インタビュー

――その妙義龍関も含め、現役を続ける同級生たちには特別な想いも?

武隈 うーん。別にどうでもいいかな。…いや、嘘です(笑)。そりゃ、やっぱりできるだけ長く続けて、若い力士たちの壁になってもらいたい。そこは意地を見せてほしいですよ。

――では、現役時代を振り返って、親方ご自身がもっとも印象に残っているのは、どの場面でしょう?

武隈 平成28年の9月場所、玉鷲関に勝って優勝を決めた14日目じゃないですかね。自分にとっても初優勝だったし、それまで思うような成績が挙げられてなかったというのもあったんで、あの瞬間は万感の想いが込み上げました。

――コロナ禍という危機に直面して、大相撲も変化が求められる時期に来ていると思います。親方自身は目指すべき方向性をどんなふうにお考えですか?

武隈 僕はまだまだ親方1年生なので、そのあたりについて発言する立場にはないかな、と。

伝統を大事に守りながら試行錯誤をしていけたら…

――同じ国民的スポーツである野球などでは、医学的な見地からのトレーニング理論やフィジカルケアもかなり浸透しつつあります。そのあたりは?

武隈 スポーツ科学の進歩は目覚ましいものがあるので、そういうものは相撲にも積極的に取り入れていきたいとは思ってます。いちばん大切にすべきはもちろん稽古ですけど、並行してウェイトトレーニングもやるほうが、確実にパワーがつきます。それが僕の実感でもあるんでね。

――新旧のいいとこ取りをしながら最強の関取を育てる。夢は大きいですね。