――その妙義龍関も含め、現役を続ける同級生たちには特別な想いも?
武隈 うーん。別にどうでもいいかな。…いや、嘘です(笑)。そりゃ、やっぱりできるだけ長く続けて、若い力士たちの壁になってもらいたい。そこは意地を見せてほしいですよ。
――では、現役時代を振り返って、親方ご自身がもっとも印象に残っているのは、どの場面でしょう?
武隈 平成28年の9月場所、玉鷲関に勝って優勝を決めた14日目じゃないですかね。自分にとっても初優勝だったし、それまで思うような成績が挙げられてなかったというのもあったんで、あの瞬間は万感の想いが込み上げました。
――コロナ禍という危機に直面して、大相撲も変化が求められる時期に来ていると思います。親方自身は目指すべき方向性をどんなふうにお考えですか?
武隈 僕はまだまだ親方1年生なので、そのあたりについて発言する立場にはないかな、と。
伝統を大事に守りながら試行錯誤をしていけたら…
――同じ国民的スポーツである野球などでは、医学的な見地からのトレーニング理論やフィジカルケアもかなり浸透しつつあります。そのあたりは?
武隈 スポーツ科学の進歩は目覚ましいものがあるので、そういうものは相撲にも積極的に取り入れていきたいとは思ってます。いちばん大切にすべきはもちろん稽古ですけど、並行してウェイトトレーニングもやるほうが、確実にパワーがつきます。それが僕の実感でもあるんでね。
――新旧のいいとこ取りをしながら最強の関取を育てる。夢は大きいですね。
武隈 どんな弟子と出会うかは縁にもよりますけど、常に頭は柔軟に持って、相撲の伝統を大事に守りながら、試行錯誤をしていけたらと思っています。
武隈親方(元大関・豪栄道)
1986(昭和61)年4月6日生まれ。大阪府寝屋川市出身。小学3年から相撲を始め、強豪・埼玉栄では高校横綱として活躍。2005年1月の初土俵から約2年半で新入幕を果たすと、その後は三役に定着。関脇として14場所連続在位の新記録を経て、14年7月に大関に昇進した。16年9月には悲願の初優勝を全勝で達成。20年1月の引退と同時に年寄・武隈を襲名した。大関在位33場所は歴代10位。通算成績は696勝493敗66休。
なお『断髪式 豪栄道引退 武隈襲名披露大相撲』が2022年1月29日(土)両国国技館にて開催決定。
映画『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』/10月30日より全国公開中…境川親方(元小結・両国)の率いる境川部屋と、髙田川親方(元関脇・安芸乃島)の髙田川部屋に坂田栄治監督が約半年間密着した唯一無二の相撲ドキュメンタリー。
「11月場所は、新大関の正代関や横綱も復帰。観客も5000人まで入れるようになりますので、映画を観て相撲により興味を持ってもらって、ぜひ国技館にも足を運んでいただけたらと思います」(武隈親方・談)
公式HP◎sumodo-movie.jp
Ⓒ2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会
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