「2センチ差」の死闘から出遅れ神業まで…天皇賞・秋、21世紀の名勝負5選

⑩イクイノックス(2022年)
パンサラッサの大逃げを神懸かり的強襲! 天才が覚醒した「伝説のプロローグ」

イクイノックス

2022年の天皇賞・秋は、歴史に残る「大逃げと、それを追う天才」の手に汗握る死闘となった。

レースを支配したのは、令和の爆逃げ王パンサラッサ。大欅の向こう側で後続を20馬身近く突き放す大逃げを敢行し、1000メートル通過は57秒4。直線に入っても、パンサラッサのリードはまだ遥か前方。場内は「逃げ切りか!」という大興奮に包まれた。

しかし、その遥か後方から、異次元のスピードで白いシャドーロールが迫る。クリストフ・ルメール騎手を背にした3歳馬イクイノックスだ。東京の長い直線を、矢のような末脚で猛追。ゴール直前、残りわずか数メートルのところでパンサラッサをきっちり捉え、GⅠ初制覇を飾った。

ここから世界最強へと登り詰める絶対王者の、伝説の幕開けにふさわしい大逆転劇である。

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【天皇賞・秋】

1905年創設の「エンペラーズカップ」が前身で、37年に春は阪神、秋は東京の年2回開催となり、同年秋のレースが第1回天皇賞とされる。戦後の47年に「平和賞」として復活し、同年秋に現在の名称へ改称。優勝馬主には天皇楯が下賜される。

84年にGⅠへ格付けされ、同年秋から距離は芝2000メートルに短縮。その後、4歳馬、地方馬、外国産馬、外国馬、セン馬と出走資格が段階的に広がった。スピードに加え、瞬発力と持久力を兼ね備えた絶対能力が問われる、中距離の頂点を決める一戦だ。