「2センチ差」の死闘から出遅れ神業まで…天皇賞・秋、21世紀の名勝負5選

⑧ジャスタウェイ(2013年)
「世界一」へと登り詰める“未完の大器”が魅せた、ジェンティルドンナぶっこ抜き

ジャスタウェイ

2013年の天皇賞・秋は、1頭の「未完の大器」が世界の頂点へと覚醒した瞬間として記憶されている。

主役は、前年の三冠牝馬であり、圧倒的な強さを誇っていたジェンティルドンナ。誰もが彼女の勝利を疑わなかった。一方のジャスタウェイは、実力は認められつつも重賞1勝のみの5番人気。

しかし、福永祐一騎手を背にしたジャスタウェイは、東京の直線で異次元の走りを披露する。先に抜け出したジェンティルドンナを目がけてスパートすると、まるで他馬が止まっているかのような爆発的な末脚を炸裂。一瞬で女王を置き去りにし、終わってみれば4馬身差の大圧勝を飾った。

この勝利を機に、翌年にはドバイデューティフリーを圧勝し「世界競馬ランキング1位」に輝くことになる怪物が、その類稀なる才能を完全に開花させた衝撃の一戦だ。

⑨キタサンブラック(2017年)
世紀の出遅れからの神業! 武豊と極悪馬場で見せた「王者の泥臭い底力」

キタサンブラック

2017年の天皇賞・秋は、台風の接近による歴史的な「超極悪馬場」で行われた。水が浮く泥んこの東京競馬場。誰もが波乱を予感した。

圧倒的1番人気は、この年での引退を発表していたキタサンブラック。しかし、ゲートが開いた瞬間、まさかの出遅れ。場内からは悲鳴が上がった。だが、鞍上の武豊は冷静沈着だった。

馬場の悪い内側をあえて突き進み、距離ロスを最小限に抑える神手綱。4コーナーでいつの間にか先頭集団に取り付くと、直線では泥を跳ね上げながら力強く抜け出した。外から急強襲してきたサトノクラウンとの一騎打ちをクビ差凌ぎ切って歓喜のゴール。

出遅れても、泥まみれになっても絶対に負けない。キタサンブラックという馬の「本物の強さ」と男気が、ファンの胸を打った泥泥の熱戦だった。