缶チューハイにも飛び火か ビール大手4社のカルテル疑惑、公取委が一斉値上げの経緯を調査

「一木会」の裏で開かれた「裏会」

組合では毎月第1木曜日に「一木会」と呼ばれる定例会合が開かれ、4社の本社の営業課長や業務課長が参加していた。この会合の後、オリオンを除く4社の担当者が別途集まり、「裏会」と呼ばれる非公式の協議の場を設けていたと報じられている。

卸売業者への出荷価格(生産者価格)について、缶や瓶などの容器ごと、商品サイズごとに「どのくらい値上げするか」「いつ頃値上げするか」といった幅や時期を、価格の一覧表を共有しながら調整していた疑いがある。

「ビール業界には以前から価格調整の噂があったが、今回、公取委は4社の担当者が定期的に集まって情報交換をしていることについて、具体的な情報を入手したため、強制調査に踏み切ったようだ」(全国紙社会部記者)

価格調整は少なくとも数年にわたって続いていた疑いがある。非公式の会合自体は10年以上前からあった可能性も報じられているが、価格調整がいつから続いていたのかは、今後の調査で明らかになる。営業担当の管理職は、会合で得た他社の情報を持ち帰って上司と協議していたとみられ、上層部に共有されていたかどうかも、公取委が解明を進める方針だ。

取引先は「カルテルでは?」と指摘していた

一方、取引先は不審を感じていたようだ。FNNの取材に応じた卸売業者は、4社の価格がほぼ同じ水準で長年続いてきたと証言したと伝えられている。別の卸売業者は、価格改定のたびに営業担当者へ「カルテルではないか」と複数回指摘したが、否定されたという。

もっとも、価格が似通っていること自体が違法の証明になるわけではない。公取委は、各社が事前に話し合って価格を決めたのかどうか、その実態を調べている。

4社は’22年10月、缶の原材料となるアルミの高騰などを理由に値上げを実施。’23年10月の酒税改正に合わせた改定を挟み、’25年4月にも原材料価格や物流費の高騰を理由に一斉値上げに踏み切っている。酒税率に変更のなかった’18年、’22年、’25年にも、そろって出荷価格を引き上げていた。

各社は’25年4月の値上げに際し、コスト上昇が続くなか「企業努力だけでは吸収が困難」などと説明していた。「やむを得ない値上げ」とする説明の裏で、価格カルテルが行われていた疑いが持たれているわけだ。