「チャンスがあれば政治への道を」25歳の小池百合子が語っていた“権力への第一歩”【怪人/快人伝 第11回】

愛犬“そうちゃん”に重ねられた総理への夢

小池をよく知る人物が、こんなエピソードを教えてくれた。

「小池は衆院に転じて10年ほど経った頃、自宅にヨークシャー・テリアの子犬を飼い始めた。名前は“そうちゃん”と言った。目に入れても痛くないほど可愛がっていたが、小池を知る者からは『自分が総理の座を目指していたことからの“そう(総)ちゃん”ではないか』との声もあった。この愛犬は、のち東京都知事2期目に入った頃に亡くなったが、周りに弱気を見せたことのない小池が、しばらく憔悴していたといわれています」

私は小池が衆院に転じて間もなく、建て替えられる前の衆院議員会館で小池の部屋を訪ねた記憶がある。他の議員へのインタビューが終わったので、小池の部屋が近かったことから覗いてみたのである。幸い小池は在室しており、20分ほど対応してもらった。

私は小池との雑談のなかで、当時の政界の現状を見据え、これからどういう立ち位置で臨もうとしているか尋ねてみた。

なぜなら、小池が所属する日本新党代表の細川は、1年もたずに自身のスキャンダルなどで連立政権が崩壊、すでに後継首相は羽田孜となっており、もはや政権は“風前の灯”状態にあったからだ。

小池は向かい合って脚を組み、両腕も組んでいたが、いささかにこやかに、こう言っていたのを覚えている。

「まあ、なるようになるんじゃないかしら。私はちょっとやそっとではメゲませんからね」

その後、小池は「政界渡り鳥」とも呼ばれ、日本新党から新進党、自由党、保守党などを経て、自民党入りすることになる。

このときの雑談時、なるほどの“美脚”に、他のやり取りはあまり覚えていないのである。

(本文中敬称略/この項つづく)

「週刊実話」10月29日・11月5日号より

小林吉弥(こばやし・きちや)

政治評論家。早稲田大学卒。半世紀を超える永田町取材歴を通じて、抜群の確度を誇る政局・選挙分析に定評がある。最近刊に『田中角栄名言集』(幻冬舎)、『戦後総理36人の採点表』(ビジネス社)などがある。