北朝鮮がDMZ越境50回超! 金正恩「戦争犯罪」でICCの標的になる可能性

北朝鮮兵捕虜2人が韓国へ移送

韓国とウクライナ両政府が実際にどのような法的手続きを用いて2人を韓国に移送したのか。また、2人の捕虜としての地位が正式にどう決着したのかなどについて詳細は明らかにしていない。ただ、この移送が北朝鮮の神経を逆なでするに十分なインパクトを持つ。

「捕虜兵2人のうち1人は、軍規に従い捕虜になる瞬間、自決しようとしましたが、その後、翻意し韓国への亡命を望むようになったと伝えられます。韓国は憲法上、北朝鮮国民を自国民と見なしており、脱北者を保護し、定住を支援する法制度があります。しかし、捕虜兵がそうなるかと言うと事はそう単純な話ではない。捕虜の扱いには国際人道法上のルールがあり、韓国への移送についても慎重な手続きが必要になります。ただし、拷問や迫害などの現実的な危険に直面する場所(北朝鮮)への移送を禁じる『ノン・ルフールマン(送還禁止)原則』もありますから、2人の保護についてはこうした事情も考慮されたのでしょう」(同)

北朝鮮兵捕虜の韓国移送が、南北を緊張状態にしている2つ目の要因なのだ。

捕虜2人の存在に正恩氏も神経質か

「北朝鮮の金正恩総書記は、ウクライナ戦で捕虜になるくらいなら自ら命を絶つことを選んだ兵士を手厚く顕彰しています。2人はこの逆のケースに該当する。北朝鮮は連座制ですから、家族を含め厳しい処罰を受けるのは間違いありません。ロシア側は、北朝鮮兵捕虜2人に対しウクライナ住民数千人の交換を提案したとされます。それほど北朝鮮兵の対ウクライナ派兵は今後の戦争の帰結を左右する重大事です。正恩氏の機嫌を損ねないようプーチン大統領も必死なのでしょう」(国際ジャーナリスト)

2人のうち1人は、朝鮮人民軍偵察総局傘下の特殊部隊に所属していた。北朝鮮軍の訓練、部隊展開、実戦経験、ロシアとの軍事協力について情報を提供する可能性がある。

「韓国にとって極めて重要な情報です。それ以上に2人の兵士に公の場で発言する機会が与えられ、北朝鮮の体制を批判するプロパガンダに利用されることを正恩氏が恐れているのは間違いない」(同)