「自分たちは正しい」浜岡原発データ不正…中部電力トップ3人辞任の裏にあった“独自の正当化理論”

経営陣の叱責が現場への圧力に

特別調査委員会は、経営陣が不正に直接関与したとは認定しなかった。ただ、経営陣の叱責が現場への圧力となり、不正が行われた要因の一つになったとの構図は浮き彫りにしている。例えば――。

勝野哲会長(当時社長)は2017年7月4日に開かれた執行役員らを集めた経営層ディスカッションで、原子力土建部が示した地震動のデータについて「(これまで示してきたものと)まるっきり違うではないか」と発言した。さらに、

「(社内の)原子力推進会議でも毎回申し上げていることだが、そのような状況下で、浜岡の場合は、審査、特に基準地震動をいかに早く進めるか、それをどう我々のできる範囲でコントロールしていくかが大切」(2017年7月26日、経営執行会議)、「審査スケジュールが尺取虫のように遅れる」「当社の努力が足りないだけである」(2018年11月12日、原子力推進会議)などと述べていた。

後任の林欣吾社長も「議論をすることではなく、全力で走ることが重要」(2023年3月23日、取締役意見交換会)などと発言し、現場にプレッシャーを与え続けた。

特別調査委員会は、経営層が「原子力土建部の策定したスケジュールが現実的には達成困難と思われるものであったことを十分に加味しないまま、もっぱらスケジュールの遅滞を批判・叱責する発言がなされていたことが認められる」とした。

さらに、「このような発言は、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査の進行という、中部電力単独では解決が困難な問題について対応を求めるものであり、原子力土建部の担当者らを不適切な行為へ駆り立てる要因たり得るものといえる」と指摘。担当者らが叱責を避けるため、規制委から指摘を受けそうな事項を開示・説明しない消極的な方針を採る一因になったことは否めないとして、経営層の責任にも言及した。