「あんたのようにハッキリ言ってくれる人はいなかった」横井庄一が見合い当日に結婚を決めた理由【怪人/快人伝 第8回】

横井庄一(C)週刊実話WEB

永田町取材歴50年超の政治評論家・小林吉弥氏が実際に会った傑物たちの知られざる素顔を初公開。今回は横井庄一(中)をお届けする。

新妻が明かしたプロポーズの舞台裏

私が横井庄一の“新妻”である美保子(旧姓・幡新)さんにインタビューしたのは、挙式から半年ばかり経った昭和48(1973)年の初夏だった。

前年2月に横井がグアム島から帰還し、その半年後の8月、美保子さんは親しい友人に薦められて名古屋で見合い、話はトントン拍子に運んで11月には熱田神宮で式を挙げた。彼女は東京生まれだが、京都の実兄の家で家事を手伝う生活をしていた。

私は、この熱田神宮にも足を運んでいる。時に、横井57歳、美保子さん44歳で、彼女から受けた私の第一印象は、ハッキリ物を言うなかなか頭の回転のいい女性というものであった。

結婚から3カ月ほどは名古屋市内の県営住宅での生活だったが、その後、夫妻は名古屋市中川区の戸建てで生活を始めている。

“新婚生活”を語ってもらう前に、美保子夫人は笑顔を交えながら、結婚までの横井とのやりとりを披露してくれた。

「あるとき、親しい知人から『行くだけでいい。イヤだったら、すぐ断っていいから』と言われ、まぁ行ってみるかという気持ちの見合いでした。初めて横井に会ったときは、エッ、この人が28年間もジャングルにいたのかと、ビックリしました。背広を着ていましたが、あまりによく似合っていたからです。なかなかの男前でした。

しかし、第一声が『あんたも、物珍しいから来たんじゃろ』でガッカリしました。せっかく来たのに、さすがに私もムッとして『そんなに物好きじゃないですよ。まあ、多少時間をかけていいお嫁さんを見つけられたらいかがでしょう』と言いました。遠回しに、結婚は無理と伝えたんです。

ところが、横井は『いままで、皆、チヤホヤしてくれたが、あんたのようにハッキリ言ってくれる人はいなかった。『好きだ』ということでした。他の人が席をはずし、2人だけになったとき、横井は箸袋の裏にホントにきれいな字で『君思ふ 心にまさる 名城かな』と書いて、私に寄越したんです。

これが、横井のプロポーズでした。私は、その日のうちに結婚を決めました。帰り際、横井は『心変わりをせんようにな』と言っていました」

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