横綱大の里「優勝は考えない」の裏に見える一人横綱の完成形と死角

豪雨から2年、静かな重ね合わせ

大の里が幕内最速で勝ち越しを決めた9月21日は、2年前に故郷・石川県で21人が犠牲になった能登半島豪雨からちょうど2年の節目でもあった。そのためか、大の里は「2年前は石川が大変なことになって、ここで大関になることができた。昨年は横綱で初めて優勝。いい報告ができるよう頑張ります」と語っている。

災害の悲しみを成績と結びつけて美談化するつもりはない。ただ、節目の日に浮ついた様子も見せず、翌日の10日目も星を伸ばして淡々と勝ち続けたこと自体が、精神面の充実ぶりを裏付ける一つの材料として記録に値する。

死角はあるのか

死角があるとすれば、終盤戦での慢心よりも、追走陣の誰かが連勝で一気に詰め寄ってきた場合の対応力だろう。特に大関昇進を懸ける熱海富士は、直近3場所の成績次第で番付が変わる立場にあり、勢いに乗りやすい状況にある。

大の里が「一日一番、しっかり集中して」という姿勢を崩さずに残り5日を乗り切れるかどうかが、1年ぶり6度目の優勝と、一人横綱としての完成形を占う分水嶺になりそうだ。

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