元組長の隠れ家、まずい居酒屋に通う本当の理由【裏社会のグルメ事情・後編】

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暴力団といえば、大人数で食事をするイメージの強い稼業。ただ、近年はドラマの影響もあってか、世の中には「1人飯」が急速に浸透している。そこで、本誌ではアウトロー界にも“孤独のグルメ”を愛する者がいるかを徹底調査してみると、衝撃秘話が出るわ、出るわ。ドラマ顔負けの逸話をご賞味あれ。

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組長の極秘アジト――マズい居酒屋と気楽な仲間

僕のような立場になれば、どこに行くにも付き人だのボディーガードだのが追ってきますからね。

余計なメシ代もかかって仕方がなければ、やはり子分の前では親分を演じなきゃいけませんから。焼き肉なんか本当は見るだけで胸焼けするのに、子分の手前食わせなきゃいけないし、酔っても周りを固められていて、気が休まらないんです。

ですので、一人になれる空間はとても大切で、連中の目を盗んで長年こっそり通っている店がありまして。

この店は一見、普通の居酒屋なんですが、実は我々がガキの時代の超カリスマ暴走族総長が経営者。テーブル席はそんなことも知らない若者たちで賑わっていますが、カウンター席で一人飲みしてるオヤジは有名チームのOBだらけで。

その中には僕の(暴走族の)大先輩たちもいるので、ここでは誰も僕にペコペコしません。たまたま隣で飲んで意気投合したハゲ同士が、実は当時敵対してバリバリ抗争してた相手だったりと、本当に居心地がいいんです。

なんなら、僕はいつも泥酔して深夜に乱入してくる常連のキャバ嬢たちからも変なあだ名で呼ばれている始末ですからね。子分たちが知ったら、たぶん飛び上がりますよ。

で、この居酒屋。肝心の料理がとにかくマズい。厨房を任されてる店長は経営者の後輩で、中華料理屋の息子らしいんですが、シンナー中毒の経験があり、舌がイかれてるとの噂があるくらいなんですよ。

でも、いいんです。僕にとってここの酒はどんな高級店で飲むよりうまい。人間、人生も終盤になれば、居心地の良さに一番価値を見出すんじゃないですか。

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