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自民党“50議席減”衝撃データ…菅首相「解散ナシ」任期満了総選挙へ

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自由民主党(C)週刊実話Web

まずは自民党幹部が「任期満了衆院総選挙」について解説する。

「菅首相が、任期満了総選挙という奇策を模索し始めた理由はこうだ。解散時期と重なる今秋、仮にまだコロナが収まっていない事を想定している。国民から『コロナ対策も不十分なのに、任期満了前に解散するとは何事か』と菅首相の解散行動に批判が出そうだからだ。これを嫌った菅首相が『任期満了総選挙であれば、逆に感染対策を最後までやり切り、次も…と有権者にアピールできる』と周囲に漏らし始めた。そのため解散なし、任期満了総選挙がクローズアップされ始めた」

現衆院議員の任期は10月21日。これまでは、東京五輪・パラリンピックを終えた〝9月解散・10月総選挙〟説が有力視されていた。例えば、パラリンピックの9月5日閉幕を見据えた9月7日解散、9月21日公示、10月3日投開票だ。

だが、自民党幹部が指摘したように、東京五輪開催中も感染拡大、さらにインド発のデルタ株が猛威を振るえば、解散どころではなくなる。政局で解散を強行したなら、菅政権のダメージは計り知れない。

「五輪・パラリンピックをやり遂げることが大前提になるが、『最後まで感染対策に全力を尽くした』と国民に訴える狙いで、任期満了総選挙に打って出るわけです」(同)

総務省関係者が続ける。

「公職選挙法の規定では『任期満了による総選挙は任期が終わる日の前30日以内に行う』と定めています。衆院任期は10月21日だから、投開票日に日曜を想定すると9月26日、10月3日、10月10日、10月17日の4パターンがある」

ちなみに過去、現憲法下で任期満了選挙は一度しか行われていない。

任期満了選挙は解散できない=力のない内閣

「任期満了選挙は解散できない=力のない内閣というイメージが強い。そのため現行憲法下、24回の総選挙で歴代内閣は、任期前に解散に打って出て、勝ち抜く作戦をとってきた。一度の任期満了選挙は1976年、田中角栄元首相逮捕に大きな役割を果たしたバルカン政治家(策略政治家)三木武夫内閣のみ。ロッキード事件の反動もあり、〝クリーン三木〟人気で大勝と思われた。しかし、結果は惨敗。コアな自民党支持者にすれば、裏切り者のイメージが強かった。議席を大幅に減らし、自民党初の単独過半数割れで退陣した」

と、過去の苦い経験を指摘するのは自民党関係者。

「今回はコロナ対策を徹底するための任期満了。三木内閣時とは時代も事情も異なるとはいえ、任期満了選挙ならどうしても負のイメージがつきまとう」(同)

任期満了総選挙を不安視する要素は他にもある。

「自民党は5月末前後、内々で総選挙に向けた極秘世論調査をした。そこで自民マイナス50議席という衝撃的な数字が出たのです。まだワクチン接種が十分進まず、国民が菅政権への怒りをたぎらせている最中の調査とはいえ、マイナス50は相当ショックだったようです」(政界消息筋)

現在、自民党は衆院で277議席を占め、絶対安定多数の261議席と単独過半数の233議席を超えている。114議席の立憲民主党の倍以上の勢力だ。ここから自民が50議席を減らし、立憲がその議席を総取りすると仮定すると、自民227議席、立憲164議席だ。

マイナス50議席という衝撃予測の背景は、コロナ対策への不満ばかりではないだろう。当然、自民党議員の不祥事もある。参院選広島選挙区での河井克行元法相夫婦の選挙違反、河井陣営に自民党から振り込まれた法外な1億5000万円の責任の所在、菅首相側近で議員辞職した菅原一秀元経産相の選挙違反事件などだ。

マイナス50どころでは済まない…

「加えて、緊急事態宣言下の今年1月、銀座クラブのハシゴ飲酒で離党に追い込まれた松本純・元国家公安委員長、大塚高司・元国土交通副大臣、田野瀬太道・前文部科学副大臣の『ハシゴ3兄弟』が、早くも次の総選挙で復党し出馬する情報まで飛び交っている。こんな国民をナメ切った姿勢で総選挙に臨めば、マイナス50どころで済まないだろう」(反菅派の自民党議員)

「新型コロナが収束し東京五輪が無事終了したなら、菅首相の自民党総裁再選は堅い上、総選挙でも自民党は圧勝するはず。問題は感染拡大が収まらず、五輪も感染者まみれ、各方面から批判の集中砲火で終えた場合ですよ。菅首相が任期満了総選挙をいくら模索しても、党内では菅内閣のままでは総選挙は勝てないとして〝菅おろし〟が始まる。つまり、総裁選は菅首相を筆頭に、候補者が乱立。河野太郎行革担当相、岸田文雄前政調会長、下村博文政調会長、石破茂元幹事長…。このところ活発な動きを見せている安倍晋三前首相の再々登板のウワサすらある」(細田派幹部)

自民党内では総裁選と総選挙の日程の兼ね合いから、もし総選挙が総裁任期満了の9月30日前後とぶつかれば〝総裁任期延長〟論も出はじめた。

どちらが先になるかは、コロナ感染と東京五輪の結果次第だ。

いずれにしても、解散&任期満了総選挙で揺れる政界に国民生活を第一に考える姿勢はない。

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