「1日10億円」の特殊詐欺被害 警察庁が仕掛ける「スマホ遠隔解析」の攻防戦

「憲法上認められる」と結論

課題となっていた通信の秘密やプライバシーの保護については、「適正手続の下で必要な限度で通信の秘密やプライバシーを制限しながら措置を行うことは憲法上認められている」と指摘し、遠隔解析に道を開いた。遠隔解析は裁判官からの許可状を取得し、実施されることになる見通しだ。

「誰が強盗や詐欺などのターゲットになっているのか、犯行日時はいつか、実行犯は何人か、犯行に使われる口座はどれかなどを特定、警察官が現場に出向くなどして被害を阻止する。通信アプリ上でやり取りされる被害者宅の写真などの入手も可能になる」(同)

今後の改善点は、より効果的な制度にしていくことだ。検討会も①厳格な要件・適正な手続を導入することを前提としながらも実効性のある対策を導入する必要がある、②技術は日々進化することを踏まえその変化に柔軟に対応できる制度とする必要がある、③犯人らに容易に対抗措置をとられないよう技術的措置の詳細については徹底した情報保全を図る必要がある―との見解を示している。

適正性を担保するため、遠隔解析を行う警察官を限定することや犯行と関係のない情報の削除、公安委員会への事後報告などの要件も設けられる見通しだ。

米英独仏豪はすでに導入済み

今後、検討会で最終的な提言を策定し制度化に向けて動き出す。警察庁は、同様の捜査手法が既に導入されている米、英、独、仏、豪の事例を参考にしながら、具体的な仕組みを考え、警察官職務執行法の改正などの手続きを進めていくものとみられる。

警察は、広域的な捜査連携や仮装身分捜査、匿名・流動型犯罪グループ情報分析室(警察庁)の設置、匿流ターゲット取り締まりチーム(T3、警視庁)の設置、外国の捜査機関との連携強化などを進めており、ここに新たに遠隔解析が加わることになる。

トクリュウ対策に詳しい関係者は「被害を未然に防ぐだけでなく、闇バイトに応募する若者を減らす効果もある。トクリュウがシグナルやテレグラムで犯行指示を出した後、実行犯が犯行に及ぶまでの時間は極めて短いことがあり、スマホの割り出し、遠隔解析の許可状発布、遠隔解析の時間の短縮が最大の課題となるだろう。通信の秘密やプライバシーを保護することは重要だが、抑制的な制度設計だと効果が下がる恐れがある。是非、実効性を意識した制度設計にしてほしい」と期待を寄せている。

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