横井庄一、グアムで28年の潜伏生活から参院選へ…取材で見えた“奇跡の帰還兵”の素顔【怪人/快人伝 第7回】

横井庄一(C)週刊実話WEB

永田町取材歴50年超の政治評論家・小林吉弥氏が実際に会った傑物たちの知られざる素顔を初公開。今回は横井庄一(上)をお届けする。

激動の1972年、日本中を驚かせた生存の報せ

昭和47(1972)年は、多種多様なニュースが飛び交った年であった。

連合赤軍によるあさま山荘事件(2月)、奈良県の高松塚古墳で極彩色の壁画発見(3月)、ノーベル賞作家・川端康成の自殺(4月)、沖縄の施政権返還(5月)、7年8カ月の長期政権を築いた佐藤栄作内閣が総辞職(7月)、伴って田中角栄内閣が発足(同)、日中国交回復(9月)、中国からカンカン、ランランの2匹のパンダが送られ、異常なブームが起こる(11月)などである。

その年のニュースの“幕開け”は、同年1月24日、第2次世界大戦の生き残り元日本兵・横井庄一軍曹が、グアム島中心部のアガナ市から南へ約20㌔のジャングル内で、現地人2人に発見されたことだった。

戦後28年目の生存は「奇跡」とされ、以後、横井の“今浦島”ぶりは大いにメディアをにぎわせたものであった。

昭和20(1945)年に日本が敗戦し、グアム島では残留日本兵に向けて投降を呼びかける放送が行われたが、それを信じられぬ横井は仲間4人と潜伏。敵の襲撃を恐れ、ジャングルや竹藪のなかをさまよい、自ら掘った地下壕などで生活していた。

しかし、敗戦から1年後に5人のうち2人が投降、昭和39年には残り2人も力尽きたが、その後も横井は「島に眠る数限りない友軍の魂が私を助けてくれる」と1人で生き続けた。


ところが、昭和47年1月24日の夕暮れ、エビやウナギを捕獲するために罠を仕掛けにいったところ、鹿の猟をしていた現地住民たちに取り囲まれ、激しい格闘の末に拘束されてしまう。

横井は連行される途中で「ここで殺してくれ」と頼んだというが、警察に保護され、同年2月2日に満56歳で日本に帰還。ようやく28年間に及ぶジャングル生活にピリオドを打った。

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