「黒い霧事件」の再来か…広島を揺るがす「ゾンビたばこ」疑惑と球団の後手対応

羽月隆太郎
主力選手によるゾンビたばこ疑惑で最下位に低迷する広島。指定薬物の「エトミデート」(通称・ゾンビたばこ)吸引とではその衝撃度は違うが、私が野球記者となってすぐ取材に駆り出された西鉄ライオンズ選手らの八百長疑惑『黒い霧事件』を彷彿とさせる。

1969年から1971年にかけて相次いで発覚した一連の黒い霧事件は、反社会的勢力の依頼で西鉄選手らが八百長試合に関与していたという疑惑だ。同事件は、八百長が認定された西鉄の池永正明らが永久追放処分となった。

社会を震撼させたあの黒い霧事件の再来かと思わせるのが、ゾンビたばこ事件だ。

羽月有罪判決から主力への波及…家宅捜索と謹慎処分

今年1月、広島の羽月隆太郎がゾンビたばこを使用したとして医薬品医療機器法違反容疑(指定薬物の使用)で広島県警に逮捕、5月に広島地裁で拘禁刑1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。2月に起訴された時点で羽月は広島から契約解除。また、羽月は初公判で「周囲に(エトミデートを)吸っているカープ選手がいた」と証言していた。

そして7月30日、広島県警は矢野雅哉と前川誠太の自宅等の家宅捜索を行い、2人は登録抹消され、事実上の謹慎処分となった。

「6月にゾンビたばこを羽月に密売した売人が逮捕され、7月にその売人と羽月、矢野、小園海斗、田村俊介が酒席を共にする写真を『FLASH』が掲載しました」(スポーツ紙記者)

要するに、反社的人物と密接交際した挙げ句、次々と芋づる式に名前が浮上する流れが、黒い霧事件と重なるのだ。

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歪む処分と球団の隠蔽体質…スカウト現場にも及ぶ悪影響


広島球団はゾンビたばこ事件の拡大を恐れるあまり、対策、対処の後手後手感は否めない。

「これ以上、レギュラークラスが欠けると、チームが勝てないから球団はダンマリを決め込んで、ほとぼりが冷めるのを待っている汚いやり方だ。大体、矢野、前川を"処分"しておきながら、小園らを庇うからおかしくなる。この事件でスカウトたちも大変です」(元広島球団スカウト幹部)

ゾンビは何度も蘇る。

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吉見健明

1946年生まれ。スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。スポニチ時代は“南海・野村監督解任”などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。著書多数。