中日・根尾昂、悪夢の7失点から翌日に150キロ無失点 “甲子園の英雄”が迎えた「背水の夏」

「背水の夏」を迎えている中日・根尾昂投手(Instagramより)

甲子園を沸かせた根尾昂が、いま中日で「背水の夏」を迎えている。

8月11日のファームDeNA戦では、9点リードの9回に登板しながら1アウトも奪えず6安打2四球7失点。SNSには「甲子園の英雄がなぜここまで」と衝撃の声が広がった。

しかし翌12日、根尾は同カードで1点リードの8回を無失点に抑え、最速150キロを計測。わずか24時間で見せた「炎上」と「150キロ無失点」の落差は、高卒8年目右腕の苦闘と可能性を同時に映し出していた。

9点差で7失点――ファームで露呈した制球難

8月11日のマウンドは、根尾にとって厳しい内容となった。大量リードの9回に登板したものの、先頭打者への右前打を皮切りに長短打を浴びて失点。その後も修正がきかず連続四球で押し出しを許すなど、打者8人に6安打2四球を浴び、1アウトも奪えないまま降板した。

救援した梅野雄吾も打ち込まれ、根尾の記録は自責点7。防御率は9点台まで悪化した。1球ごとにマウンド上で追い詰められていく姿に、スタンドとネット上のファンは騒然となった。

24時間後に150キロ――根尾昂はなぜ立て直せたのか

しかし、根尾は翌日のマウンドで意地を見せた。

12日、1点リードの8回に2番手として登板すると、先頭に安打を許しながらも後続を149キロの見逃し三振、135キロの変化球で空振り三振に切って取る。2死一、三塁とピンチを背負ったものの、この日最速となる150キロの直球で追い込み、最後は137キロの変化球で右飛に打ち取った。

1イニングを2安打2奪三振で無失点。前日の大乱調からわずか24時間後に見せた投球は、彼が持つポテンシャルの高さと、好不調の振れ幅の大きさを改めて印象づけた。

「ショート→外野→投手」――最初から波乱だった8年間

大阪桐蔭で春夏連覇を達成し、2018年ドラフトで4球団競合の末に中日へ入団した根尾は、当初「遊撃手一本」でプロのスタートを切った。

しかし、プロの壁は厚く打撃不振に苦しんだ。2021年にはプロ初本塁打となる満塁弾を放つなど大器の片鱗を見せたものの、遊撃手として定着することはできなかった。

転機となったのが2022年だ。外野への登録変更を経て、シーズン途中に投手として一軍初登板。最速150キロを記録し、巨人の主砲・岡本和真から空振り三振を奪うなど鮮烈なインパクトを残した。その年限りで投手専念が決まり、根尾の野球人生は大きく方向を変えることになった。

当時、投手転向を決断させた立浪和義前監督は、のちにYouTube番組で「ピッチャーに変わったときはすごく良かった。ただコントロールで苦労した」と、その潜在能力を認めつつも制球難という壁にぶつかった過程を振り返っている。

高校時代に「根尾なら何でもできる」と言われた万能スターは、プロの世界でショート、外野、そして投手へと居場所を変えながら戦い続けてきた。投手転向後も試行錯誤は続いたが、その流れを大きく変える出会いが待っていた。

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