中日・根尾昂、悪夢の7失点から翌日に150キロ無失点 “甲子園の英雄”が迎えた「背水の夏」

今年3月には侍ジャパンのサポートメンバーにも選ばれていたが(Instagramより)


涌井秀章が授けた「きれいに立ちなさい」の意味

投手専念から数年、根尾には明確な覚醒の兆しが見え始めていた。

2024年オフからチームの百戦錬磨のベテラン・涌井秀章に弟子入りし、合同自主トレを敢行。「足を上げたときに、きれいに立ちなさい」という核心的な助言を受けた。軸足でしっかりと立ち、タメを作って腕の通り道を一定にする新フォームに取り組み、ストレートの球威も一段と増した。

4月8日のDeNA戦(横浜)では、延長10回を三者凡退に抑えてプロ8年目にして念願の「プロ初勝利」を記録。最速150キロの直球と涌井直伝の新フォームで掴み取った1勝に、中日ファンの間には「ようやく根尾が始まった」という歓喜が広がった。

プロ初勝利からわずか1カ月で再び二軍へ

しかし、一軍の壁は甘くなかった。初勝利以降は4試合連続で失点を喫するなど制球を乱し、5月4日に登録抹消。今季の一軍成績は9試合登板で1勝1敗、防御率5.00にとどまっている。

フォーム改良の効果は見え始めているものの、制球が乱れると四死球から崩れる課題は解消しきれていない。昨季二軍で見せた安定感を取り戻せないまま、一軍定着への道は険しさを増している。

消えない「素材評価」と、根尾昂に残された時間

一軍で結果が出ない現状を受け、球界OBやメディアの間では「環境を変えれば化けるのではないか」とトレードや現役ドラフトの可能性を指摘する声も出ている。150キロを超える直球とスライダーの球威は依然として魅力であり、他球団が「素材」として関心を寄せるのは不思議ではない。

ただ、中日にとって根尾は地元・岐阜出身で、4球団競合の末に獲得した特別な存在でもある。簡単に結論を出せる立場ではないからこそ、評価は「期待」と「現実」の間で揺れ続けている。

今年で26歳、高卒8年目。もはや「将来性だけで待ってもらえる段階」ではない。求められているのは、甲子園のスターとしての物語ではなく、一軍で勝利に貢献できる投手としての結果だ。

8月11日の7失点、そして翌12日の150キロ無失点。わずか24時間で見せた極端な振れ幅は、現在の根尾昂の苦闘と可能性を象徴している。残りシーズンの登板は、来季の立場を左右する重要なマウンドとなりそうだ。

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