【深淵ホラー劇場:映画界が封印した『G級の神々』】#10 【日本初インタビュー】『墓地裏の家』メイ役シルヴィア・コラティナが明かすラストシーンの真相 ルチオ・フルチ作品とイタリアン・ホラー復活への思い
2026.07.25
エンタメ
■ イタリアン・ホラー再評価の立役者 世界のホラーコンベンションが支えた復活
さらにアメリカのパウラ・プロダクションズPaura Productionsのマイク・バロナス Mike Baronasを始めとしたファンたちは、イタリアのカルト映画スターをアメリカやヨーロッパのコンベンションに招きイタリアン・ホラーの再評価を後押しした。
「2009年以後、再び連絡が取れるようになったのはFacebookのおかげです。その間、多くの人が私に連絡を取ろうとしたものの連絡方法が分からなかったことを知っています。そんな時にマイク・バロナスが私に連絡をくれて、過去のカルト俳優たちと共にアメリカで開催されるホラーコンベンションに参加することになりました。素晴らしい経験でした。これほど多くのファンが今もなお映画に熱心に想いを寄せているとは思ってもいませんでした。それ以来、イタリア国外の多くのプロジェクトやコンベンション(イタリアにはコンベンションというよりフェスティバルがあります)に関わってきました。今では業界でもよく知られるようになり、光栄に思っています。80年代のイタリアンホラーをイタリア国内だけでなく海外でも紹介できることを嬉しく思っていて、常にルチオ・フルチの名は高く掲げようと努めています。彼は常に称賛され記憶されるべき人物であり、彼の功績に感謝しなければなりません」。
実際、フルチの『サンゲリア』(1979)がイタリアン・ホラーのある面でのスタンダードであり、多くの人が『サンゲリア』をきっかけに星の数ほどあるイタリアン・ホラーの探究を始めたのは事実である。
■ 再評価の停滞とイタリアン・ホラーが目指す新たなステージ
そんな時、シルヴィアに新たな転機が訪れた。以前の記事で紹介したファブリツィオ・バイロン・リンク監督とオーレ・フィルムとの出会いである。
「オーレ・フィルムのみんなは、私にとって様々な意味で家族のような存在です。2021年にファブリツィオ・バイロン・リンクから連絡があり、ウェブシリーズ『Fantasmagoria』シーズン2のエピソード『The Last Titivillus (最後のティティヴィラス)』で、私を想定して書かれた役を撮影することになりました。ちょうどコロナ禍だったこともあり、撮影まで長い間待ちました。私の役はユニークでとても興味深いものでした」。
シルヴィアにとってこの役は大きな挑戦だった。何年も演技をしていなかった上に悪魔(ティティヴィラス)を象徴するサディスティックな画廊のオーナーを演じなければならなかったからだ。とはいえシルヴィアにとって、それは楽しい経験だったそうだ。今のシルヴィアはオーレ・フィルムのスタッフと常に密に連絡を取り合っていて、アイデアを共有したり、共同あるいは個別にプロジェクトを進めている。彼女たちは前進し続けており、今後も映画制作に取り組んでいくという。
「もちろん、私が80年代に携わった映画は様々な基準に基づいた大規模な作品でしたが、『Cinghia』は小規模な自主映画です。限られた予算内で、ここまで力を注いだスタッフにはただただ感服するばかりです。彼らは見事にその難題を乗り越えました」。
バイロン・リンクらがイタリアン・ホラーの復活に寄与する可能性は高い。しかしそれがムーブメントになるには、より多くのフィルムメーカーによる同時多発的な力が必要である。果たしてそのポテンシャルが今のイタリアにあるのだろうか?
「私たちは、70年代や80年代のようにホラー映画を再び最前線に押し上げるため様々な努力をしています。これらの年代のホラー、スリラー、犯罪映画は常に誇りの源であり、歴史的に見ても国際的に羨望され、模倣されてきました。ですが、多くの場合は機会や資金、そして誰もが発言できる環境が不足しているんです」。
シルヴィアにとって興味深い作品は沢山あるが、革命を起こすには何かがまだ足りていないようだ。
■ イタリアの新世代ホラーネットワークが作るイタリアン・ホラーの土壌
「このネットワークは、非常に肥沃な土壌を生み出す可能性を秘めています」。
だが、シルヴィアはこうも危惧する。
「確固たる基盤は築けるものの、新たなイタリアン・ホラー映画の成功は、製作者がこれらのプラットフォームをいかに上手く活用し、単なるノスタルジーから脱却して、現代的かつ普遍的な魅力を持つ物語を提供できるかどうかにかかっています」。
また、ホラー映画を消費する若年層の動向は作り手に大きな影響を与える。例えばイタリアにおいてのテレビというオールドメディアは既に影響を失っているようだ。シルヴィアはこう語る。
「(イタリアのテレビでは)残念ながら、映画はもっと注目されるべきなのに、深夜帯の番組としてしか放送されていません。いつも同じような内容ばかり取り上げられますが、このジャンルはもっと評価されるべきです。イタリアの傾向は日本と非常によく似ており、若い世代は従来のテレビ番組ではなく、オンデマンドのストリーミングプラットフォームを主に利用しています」。
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