「時間を守れない人間は信用されない」三島由紀夫が25歳の記者に刻んだ人生訓【怪人/快人伝 第1回】



昭和44年11月3日、東京・三宅宅の国立劇場の屋上で、結成1周年の観閲パレードを行った三島由紀夫と「楯の会」メンバー

若き日に味わった苦い洗礼

さて、肝心のインタビューは、白状すれば恥ずかしながらズタズタであった。

体験入隊、最近の社会情勢をどう受け止めているのか、今後の作品への意欲などを質したのだが、こちらが約束時間に遅れたことで気後れし、私の突っ込みの甘さも手伝って不首尾に終わったのだった。

時に、三島がインタビューさなかに、約束の時間に遅れたことに言及したのかは、60年以上が経ったいま、当時の混乱ぶりから記憶が定かでない。ただ、あの几帳面で鳴る三島が、次のような目で私を見ていたことが、痛いように分かったものである。

三島は、こう言っていたのではなかったか。

「君、時間を守れぬ人間は何をやっても信用されないですよ。社会は、約束事で成り立っている。時間を守ることは、約束事の第一歩ということです」

このときの“三島ショック”以後、今日までどんな相手との約束でも、私は必ず10分ほど前には先に行くことを守るようになった。そういう意味で、のちに相手を不快にさせたことはまずなかったと、三島から与えられた「人生訓」に感謝する今日となっているのである。