羅先港の利権・レアアース・反日キャンペーン 中国が北朝鮮を手放せない三つの理由

日米に対抗するため、北朝鮮を利用か

中国の習近平国家主席は6月8~9日の日程で7年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩総書記と会談した。表向き、昨年9月3日の「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年の記念軍事パレード」に正恩氏が出席したことへの返礼と、中朝友好協力互助条約締結65周年のタイミングを見計らっての訪朝だ。

「中朝国交樹立75周年ですら祝電を交わす程度にとどめていた習氏が、今年度初の外遊先として北朝鮮を選んだことには当然、思惑があります。すでに核保有国となった北朝鮮を対米交渉カードにするつもりなのです。
習氏は、第1幕として訪朝前にトランプ米大統領と会談していますが、トランプ氏は、台湾問題を交渉カードに切っています。これに対して習氏は、イラン問題の解決策をカードにしようとしましたが、トランプ氏はこれをスルーした。
ですから習氏としては9月の訪米前に、代わりの対米交渉カードとして北朝鮮への影響力を取り戻す必要があったのです」(国際ジャーナリスト)

「下駄の雪」のように中国を頼る北朝鮮の宿命

中朝関係はその歴史をたどると決して関係はよろしくない。建国以来、中国に裏切られても、裏切られても、"下駄の雪"のように中国を頼らざるを得ないのが北朝鮮の宿命だったが、近年は中国に代わりロシアの影響力が増してきている新冷戦構造だ。

中国の最高指導者の訪朝は、金正日前総書記時代(1994年7月~2011年12月)を含めてもわずか3度しかない。一方、北朝鮮からは正恩氏の父親である正日前総書記が7度も中国を訪問しており、正恩氏もすでに5度訪中してご機嫌伺している。

「しかし、正恩氏の初訪中は2018年3月であり、正日氏の死去後、7年間にわたって訪中していない。習氏も前任者の胡錦濤国家主席による訪朝から14年間にわたって北朝鮮を訪れませんでした。その背景には、第1回核実験(2006年)以降、北朝鮮が核開発を進めたことに中国が強く反発し、北朝鮮の不倶戴天の敵である米国と歩調を合わせて国連制裁に参加したことでも分かるように、メンツを潰された怒りがあったのです」(同)

【関連】イランは攻撃、北朝鮮は手出しできない 米国を縛る「3つの重大リスク」の正体