羅先港の利権・レアアース・反日キャンペーン 中国が北朝鮮を手放せない三つの理由

核保有を事実上容認した習近平の思惑

国際社会、ことさら日本と韓国は今回の訪朝で、中国が北朝鮮の核保有問題に言及するのではと期待したが、習氏はその件については触れず事実上、北朝鮮の核保有を容認した。

「中国は北朝鮮の核開発を抑える役割を棚上げし、核兵器保有国と自ら宣言する北朝鮮を追認しました。朝ロ関係も同様です。北朝鮮は、ロシアのウクライナ軍事侵攻に加勢する派兵を通してロシアとの蜜月関係を築いたのに続き、習氏との会談によって中国との経済関係をも復活させるのに成功したといえます」(北朝鮮ウオッチャー)

羅先港の利権・レアアース・反日に北朝鮮を利用

長引く経済低迷、側近の相次ぐ粛清や自身の健康問題によって、若干自信を失っているように見受けられる習氏にとって、北朝鮮の存在は200万人もの朝鮮民族が住む中国・東北地域の経済発展戦略において重要な意味を持つ。

また、中国は30年間、日本海に面した羅先港や清津港の埠頭を賃借しており、軍事面のみならず、日本海・太平洋へのアクセス拠点としての利権を持つ。

加えて、北朝鮮にはレアアース(希土類)も含め豊富な地下資源が存在している。北朝鮮が日米韓との対立により国際的に孤立している状況は、中国にとって市場参入や資源確保の面で有利に働くのは自明の理。資源外交及び地域経済戦略の観点からみても、北朝鮮をロシアに渡すわけにはいかないのだ。

さらに現在、中国がしゃかりきになっている反日キャンペーンに北朝鮮を利用する手もある。

高市早苗首相の台湾有事における「存立危機」発言をきっかけに、中国は日本の防衛力強化の動きを「新型軍国主義」のレッテルを貼り、世界に向けて批判キャンペーンを展開中だ。5月14~15日にトランプ大統領が訪中した際も、米中首脳会談で習氏は高市首相を激しく非難したが、トランプ氏は日本を擁護した。