吉村知事、パワハラ懲戒処分の前大阪市局長を府の特別参与に起用し批判殺到 「能力があればOK」論に怒りの声

「能力があれば不祥事は不問」——政治に蔓延する論理の問題

今回の騒動の本質は、「実績さえあれば、パワハラも不問」という論理にある。吉村知事が「能力は間違いない」と繰り返す姿は、問題のある言動が報じられても「選挙に強いから」「仕事をしているから」と居座り続ける政治家たちの論理と構造的に酷似しているとの指摘が出ている。

河合氏が指摘するように、パワハラ問題は2012年に厚労省がワーキンググループを設置して以降、長年の議論を経てやっと法制化にたどり着いたものだ。

「知事がこのような発言をするとは」という言葉には、社会がようやく積み上げてきたハラスメント対策への意識が、行政トップの発言によって軽く扱われることへの深刻な懸念が込められている。

もちろん、人材の能力を行政施策に活かすこと自体は否定されるべきではない。しかし、パワハラを受けた被害者の立場から見れば、加害者が懲戒処分を受けた翌日に新たな公職に就くという事実は、到底受け入れられるものではない。

しかも実質的な減給もなく、処分の前から次のポストが用意されていたとすれば、懲戒処分制度そのものの意味が問われる。

公金と市民の信頼が問われる

真面目に働く現場の公務員、そして物価高の中で納税を続ける市民の倫理感覚に照らして、この人事が「納得できる」と言えるかどうか。

河合氏は「ハラスメント問題の発生前から決めていたということで、働く職員への配慮や即時通報体制の設置といった対案をセットにするなど、進め方はあったのではないか」とも提言している。

「仕事ができればOKはもう通用しない時代」——専門家のこの言葉が、吉村知事と大阪府に突きつけられた最も重い問いかけと言えるだろう。

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