吉村知事、パワハラ懲戒処分の前大阪市局長を府の特別参与に起用し批判殺到 「能力があればOK」論に怒りの声

「処分の前から打診していた」——吉村知事の発言が火に油

4月1日の取材対応で吉村知事はこう語った。

「パワハラ、これはあってはならない。(岡本氏は)処分を受け入れて『申し訳なかった、反省します』と言っている。その上で、これまでの大阪の文化・芸術、御堂筋ランウェイや大阪来てな! キャンペーンなど、さまざまなイベントに力を発揮されたというのも事実。その能力があるのは間違いない」

さらに記者から「パワハラの事実を把握する前に打診したのか」と問われると、知事は「そうですね。当然、その前からです」と答えた。

つまり、パワハラ調査が進み処分が下されることが分かっていながら、大阪府側は「ポストを用意して待っていた」構図になる。これでは市が下した懲戒処分が形骸化していると言わざるを得ない。

府内では岡本氏の起用を不安視する声もあると報じられている。「仕事に厳しく声が大きい一面がある」という府職員の言葉も伝えられており、庁内からも懸念の声が出ている状況だ。

専門家も批判——「仕事ができればOKはもう通用しない時代」

この人事発表に対し、XやYahoo!ニュースのコメント欄などSNSには数多くの批判の声が相次いでいる。中でも注目されるのが、Yahoo!ニュースエキスパートとして見解を寄せた健康社会学者・河合薫氏(Ph.D)の指摘だ。

河合氏は「『パワハラはダメだが、能力は間違いない』という思考回路は、ハラスメント問題の真意がわかっていないと言う他ない」と厳しく批判。「いったい何人の人がハラスメントにより苦しめられてきたのか。家に帰れば自慢の息子であり、娘であり、尊敬されるお父さんであり、お母さんを、パワハラでウツにして許されるわけがない」と被害者側に立った視点を示した。

さらに「ハラスメントやシゴキで達成された成果は成果とは認めないというのが今の価値観。減給6カ月というかなりの処分を受けた人をわざわざ参与に任命するというのは、『仕事ができればオッケー』と吉村知事が考えているという意思表明だと言える」と断じた。

また、吉村知事が強調する「本人は反省している」という説明についても、河合氏は「10代の青年でもあるまいし、いい大人がそう簡単に自分の根本思想やスタイルを変えられるはずがない」と一刀両断。「パワハラされた側は、一度心を閉ざしてしまうと、たとえ謝罪されたとしても、その人とは関わりたくないと思うはず。部署替えしたとしても、噂は蔓延し、コミュニケーションの阻害要因にもなる」と実態を指摘した。

そして「吉村知事の一存で安易な人事を承認すれば、いつか悪い意味での結果が帰ってくるのでは」と府の組織運営への危惧を示している。