"夜11時以降ビールが買えないのか!" デンマーク人監督が7万人を黙らせ、なでしこを2027年W杯制覇に導く

「2人部屋から1人部屋へ」宮本会長が断行した"聖域なき投資"

ピッチ外でこの優勝を下支えしたのが、日本サッカー協会・宮本恒靖会長による「環境改革」だ。遠征時の宿泊を2人部屋から1人部屋に変更。飛行機移動をビジネスクラスに格上げし、専属トレーナーを2人から3人体制へと増強。男子代表と遜色ないレベルへの大胆な待遇引き上げである。

「選手が求め、協会側が応えてくれている。であれば結果を出すことが一番の責任だと思う」とキャプテンの熊谷紗希。2011年W杯優勝メンバーの33歳は続けた。「2011年とは比べ物にならないくらい環境や待遇が良くなっている。あとは選手がそれに応えなければいけない。タイトルという形で責任を果たしたい」。完全アウェーの大舞台で、その宣言通りの結果を出してみせた。

西シェフの「食卓」と、男子を凌駕する強靭な胃袋

選手たちのコンディションを支えたもう一つの柱が、伝説の専属シェフ・西芳照氏だ。還暦の年にロシアW杯の男子代表チームから贈られた真っ赤なコックコートを纏い、現地の食材を駆使しながら「疲労回復」と「栄養補給」の両立に徹した。

「女子は体が小さい選手でもよく食べる。男子と同じか、それ以上に食べる選手もいる。だから動けるんでしょう」。厳しい連戦とアウェーの重圧を跳ね除けるエネルギーは、この職人の手と、それを完食する選手たちの強靭さによって担保されていた。

「3度の決勝・3度の相手・3度の1-0」――運命のジンクス

記録しておくべき「奇妙な事実」がある。なでしこがアジアカップで刻んだジンクスだ。2014年大会、2018年大会、そして今回の2026年大会。3度すべてにおいて、決勝の相手はオーストラリア、スコアは1-0。これほど一致した決勝が偶然の産物だとは、誰も思うまい。

「あまりにも長く優勝から遠ざかっていた」とニールセン監督自身が認めるように、2022年大会の雪辱を果たした今回の優勝は、チームにとって格別の意味を持つ。