"夜11時以降ビールが買えないのか!" デンマーク人監督が7万人を黙らせ、なでしこを2027年W杯制覇に導く

浜野まいかへの最大級の賛辞――「彼女の名前を覚えておいてほしい」

そもそも「浜野まいかとは何者か」を知らない読者のために、ここで紹介しておこう。

大阪府高石市出身、2004年5月9日生まれの21歳。身長165センチ、シャツをズボンにインするのがトレードマークの、あどけない笑顔が印象的なストライカーだ。しかしそのプレーは笑顔とは真逆の「怪物」である。

小学6年生でナショナルトレセンに選出。セレッソ大阪の育成組織で頭角を現すと、高校2年生の17歳でINAC神戸レオネッサとプロ契約――それもクラブ史上最年少という記録を塗り替えてのことだ。高校を中退してプロの道を選んだ決断が、今日の彼女を作った。

その後、名門チェルシー(イングランド)に移籍するや、WSL(女子スーパーリーグ)5連覇達成に貢献。日本人女性として初めてWSLタイトルを手にした。

さらに2022年U-20女子W杯では準優勝に輝き、大会MVPを獲得。2023年女子W杯、2024年パリ五輪と、10代から世界の大舞台を経験し続けている。現在はチェルシーから期限付きでトッテナムに移籍中だ。

ニールセン監督が試合後に絶賛した言葉が、この選手の本質を語り尽くす。

「彼女の名前を覚えておいてほしい。いずれオーストラリアのスター選手たちに並び、それ以上になるかもしれない才能だ」

今大会の準決勝・韓国戦でもスーパーゴールを決めており、決勝の一撃はまぐれではない。2027年ブラジルW杯で世界を震撼させる次世代エースの名は、浜野まいか――。

「泥臭く、勝てるサッカー」をもたらした知将の"眼"

なでしこ史上初の外国人監督・ニールセンは、UEFA欧州女子選手権2017でデンマーク女子代表を準優勝に導いた実績を持つ。2024年12月に就任するや、就任翌年2025年2月にはシービリーブスカップでFIFAランク2位のアメリカ女子代表を2-1で撃破。「勝てる集団」への変貌を世界に印象付けた。

ニールセンが日本にもたらしたのは、欧州基準の「勝負への冷徹さ」だ。かつてのなでしこは、ボールを保持しながらもゴール前で跳ね返されるシーンが目立った。

しかしニールセンは「持たされる時間」を許容しながら一瞬の隙を突くカウンターと、局面での個の打開力を徹底させた。7万人の完全アウェーという極限状況で見せた安定した守備ブロックは、まさにその真骨頂。「綺麗なサッカー」から「泥臭く勝てるサッカー」への脱皮こそが、アジア制覇の根底にある。

試合後、監督は静かに、しかし確信を持って語った。「今日はベストな内容ではなかった。それでも選手たちのキャラクター、最後まで信じて戦う姿勢が、重要な局面でチームを10〜20%強くしてくれた。そこがとても気に入っている点だ」。