【WBCの伝説1】侍ジャパンの軌跡! 「世紀の誤審」を越えた初優勝&不振のイチローが“神”を呼んだ劇的連覇

王貞治監督が静かに口にした“無念さ”と“怒り”

イチローと大塚のメジャー組を除くほかのメンバーは、松坂や上原浩治(巨人)、松中信彦(ソフトバンク)なおすべて日本のプロ野球(NPB)のトップ選手というチームで臨んだ大会だったが、最終的には優勝を果たし、日本の野球ファンを大いに沸かせた。ただ、頂点へたどり着くまでには、あまりに多くのドラマがあった。

その中でも最たるものが、米カリフォルニア州のエンジェル・スタジアム・オブ・アナハイムで行われた2次ラウンド初戦のアメリカ戦だった。

3−0とリードした日本は6回に追いつかれるも、8回の裏、一死満塁と勝ち越しの機会を作る。ここで岩村明憲(ヤクルト)が左翼へフライを打ち上げた。

左翼手の本塁への送球がそれる間に三塁走者・西岡剛(ロッテ)が勝ち越しの生還。しかし、米国が「三塁走者の離塁が早い」と抗議した。塁審は当初、セーフの判定を出していたが、米国のマルティネス監督の再抗議を受けてこれを覆し、アウトに。

リプレーでは西岡の離塁は正当なものにしか見えなかったが、再度判定が覆ることはなく、日本は無得点。9回裏、アメリカのアレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)にサヨナラ安打を打たれ、4-3で大事なラウンド初戦を落とした。

試合後、日本代表を指揮した王貞治監督(ソフトバンク)は、言葉は冷静ながらも無念さをにじませ、このように語っている。

「野球が始まったアメリカでこういうことがあってはならない」

後に、この疑惑の判定は「アナハイムの悲劇」として語り継がれることとなった。