広陵「暴力なし」認定の違和感と、日大三高「わいせつ動画」書類送検の戦慄──名門校ガバナンスの崩壊が露わにした現実

日大三高「準優勝」の熱狂裏で拡散された動画の戦慄

広陵が“ガバナンスの欠陥”を指摘されながらも「暴力なし」と結論づけた一方で、日大三高を巡る現実はさらに深刻だ。

2月12日、警視庁は児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで、同校野球部員2人を書類送検した。知人女子生徒にわいせつな動画を自撮りさせ、それを部内の二十数人に共有したとされる。

特筆すべきは、その時系列である。動画が拡散されていたのは2025年5月〜10月。同校が甲子園で準優勝を果たし、日本中の喝采を浴びていたまさにその期間だ。

学校側は「2025年10月に事案を把握した」と説明している。つまり、甲子園の熱狂の裏側で、被害者の尊厳を踏みにじる行為が続いていたことになる。

もしこの事実が大会中に露呈していれば、準優勝という“成功体験”も、寄付金や名誉も、まったく違う形になっていた可能性がある。結果として、発覚までのタイムラグが学校の評価を守る形になったという構図は否めない。

名門校に根付く「勝利至上主義」と“閉鎖性”の系譜

なぜ名門校では不祥事の把握が遅れ、調査が後手に回るのか。その背景には、長年積み重ねられてきた“勝利至上主義”の文化がある。

広陵の報告書が指摘した「野球部内の問題が一般の生徒指導ルートから外れ、部内で処理される傾向」という一文は、偶然ではない。強豪校ほど、部活動が学校運営に占める影響力は大きくなる。

甲子園出場は学校のブランドであり、OB会や寄付金、進学実績とも密接に結びつく。その結果、指導者の権限は肥大化し、校内のチェック機能は働きにくくなる。

かつては密室で処理できた問題も、SNSが普及した現代では一瞬で外部へ漏れる。それでもなお、名門校の内部文化はアップデートされていない。この“時代とのズレ”こそが、今回の二つの事件を生んだ土壌である。