【池袋・怪談ライブ】阿部洋佑×國澤一誠×富田安洋「恐界線vol.1」 「徹底的に怖がらせる」新感覚ホラーイベントの全貌

怪談大会とテレビ出演、その舞台裏

國澤一誠(C)週刊実話Web

トークはさらに、怪談大会やテレビ出演の裏側へと踏み込んでいく。

阿部氏は、視聴者投票で50%以上の支持を得ながらも、Zoom予選での配置や時間配分の影響により決勝進出を逃した経験を語った。自虐的に「決勝行ってないから!」と笑いに変える姿に、会場からは共感と拍手が送られた。

一方、國澤氏は、審査員として呼ばれたはずの大会で「全員出演するから」と説明され、結果的に急遽演者として舞台に立たされることになったという“想定外の展開”を告白。

第一線に立つ怪談師であっても、テレビ業界特有の構成や演出によって、思いもよらぬ展開に巻き込まれることがある。そんなリアルな舞台裏が明かされた。

マイクロブタとサザエさん——怪談師たちの素顔

過酷な現場の話題から一転、トークはプライベートな一面へ。

國澤氏は、家族として迎え入れたマイクロブタの「たかし」への溺愛ぶりを披露。将来はリスザルを飼いたいという、意外な動物好きの一面ものぞかせた。

阿部氏からは、多忙な日々の中で感じる「時間経過の加速感」についての話題が飛び出す。
「1週間に3回サザエさんを見ている」というエピソードは、現代人の感覚を象徴するものとして会場の笑いを誘った。

映像怪談が暴く“死者の無意識”

富田安洋氏(C)週刊実話Web

後半はいよいよ、本イベント最大の見どころである映像怪談パートへ。3人が「これは映像化すべき」と判断した実話怪談を、ナレーション付き映像として上映するこの試みは、単なる怪談の再現に留まらない。

富田氏が提示した「子供病棟に現れる老女」の怪談では、「幽霊自身が自分の死を自覚していない」という無意識の恐怖が提示され、さらに「霊同士は互いを認識できず、孤立しているからこそ生者に執着する」という考察が、観客に深い戦慄を与えた。

國澤氏は、事故多発交差点のカーブミラー映像を用い、「ミラーは条件次第で別の世界線を映し出すチャンネルになり得る」という、物理学的視点を交えた解釈を披露。日常風景が一転して恐怖の装置へと変貌する瞬間だった。

阿部氏の怪談では、「宿泊したホテルが実は廃墟だった」という戦慄の体験が映像化される。

無限に続く囁き声と、朝に明かされる非現実的な光景。これを阿部氏は「動物霊による化かし」とし、民俗学的視点から解説することで、観客を思考の迷宮へと誘った。