去る6月1日、北朝鮮の朝鮮労働党が、今年1月に開催した第8回党大会で党規約を改正し、金正恩総書記に次ぐ事実上のナンバー2である「第1書記」のポストを新設していたことが分かった。
「厳密には新設とは言えません。正恩氏は2012年に父の金正日総書記を〝永遠の総書記〟と位置付け、自身は『党第1書記』という肩書を名乗って16年まで通していた。その後、書記制を廃して委員長制に転換したのですが、今年の初めに元に戻し、祖父の金日成、正日に続いて総書記の座に就いたのです」(国際ジャーナリスト)
いずれは正恩氏の妹・金与正党宣伝扇動部副部長が、第1書記に就任することを念頭に置いているとみられ、それまでの〝弾避け〟として誰が新ポストに就任するか注目されている。
北朝鮮は党規約の改正により、その第24条で「党の首班は総書記である。総書記は党を代表し、全党を組織領導する」と規定している。ただ、第26条の第1書記の役割については、「総書記の代理として正恩氏から委任を受けて会議を主宰することができる」と規定されているものの、例えば外交や有事の際にどこまで権限があるのかは、まったくもって不透明だ。
「あの女、ヤクでもやってるんじゃねえか」
「ハッキリと分かっているのは、正恩氏に代わって会議を主宰できるのは党政治局常務委員のみ。現在、正恩氏以下、崔竜海最高人民会議常任委員長、趙甬元党書記、李炳哲党中央軍事委員会副委員長、金徳訓首相が〝ビッグ5〟を形成しています。このうち正恩氏の最側近とされる趙書記が、第1書記に就任する可能性が高いとみられますが、その一方で空席のままという見方もある」(同)
そもそも最近の与正氏は、内なる評判があまりよくない。未曾有の経済難に陥った北朝鮮では、国民が飢餓や物資不足にあえぎ、党幹部や高級官僚でさえ配給が届かず、生活苦に追い込まれている。
にもかかわらず与正氏は韓国の支援を仰ごうともせず、やみくもに南北対立を煽るばかりで、すっかり求心力を失っているという。
「米政府系の『ラジオ・フリー・アジア』が伝えたところでは、北朝鮮の国民の中には『あの女、ヤクでもやってるんじゃねえか』などと、平気で小馬鹿にする風潮すらあるらしい」(北朝鮮ウオッチャー)
歴史を振り返っても、北朝鮮のナンバー2は粛清される宿命にある。かつて威勢を誇った張成沢党中央委員会行政部長は、正恩氏の反感を買って数百発に及ぶ機関銃の猛射を浴びせられた。張一族は幼子まで皆殺しにされている。
与正氏の運命やいかに。
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