信長「池の水ぜんぶ抜く」VS秀吉「雷神&稲荷神を恫喝」 戦国武将が挑んだ史上最強の妖怪退治伝説!

織田信長

戦国時代、人々は妖怪の存在を信じ、本気で恐れていた。そのためか、歴史に名を残した戦国武将にはさまざまな妖怪退治の伝説がつきものだ。そこで、今回はその中でも織田信長と豊臣秀吉の武勇伝を紹介しよう。

大蛇の棲む池に飛び込んだ織田信長

戦国時代を代表する武将である織田信長には、妖怪退治のために元祖「池の水ぜんぶ抜く」とも言える対処法をとったという一風変わった逸話がある。

『信長公記』にいわく、織田家臣団の佐々成政の領地にある大きな池「あまが池」にある日、「大蛇が出る」という噂が立った。その大蛇は「鹿のような顔、爛々と光る目、赤く大きな舌」をしていて、領民たちはひどく怯えていたという。

そこで信長は、大蛇が本当に生息しているのか確かめるため、池の水をすべて抜くように命じたのだ。だが、池は思いのほか大きく、また湧き水もあって7割ほど水位が下がったあとは水が引かなくなった。すると信長は、自ら脇差を口にくわえて池の中に飛び込んだ。

少しして、水から上がってきた信長は「大蛇らしいものは影も形もなかった」と宣言し、領民たちは安心したという。この逸話からは、流言飛語をそのまま受け入れずに、自らの目で確かめようとする信長のリアリスト的な側面がうかがえる。

しかし、そんな信長も敵わなかった怪異も存在する。あるとき、信長は大坂の妙国寺を訪れた。この寺には舶来の大蘇鉄が植えられており、立派な緑の葉を広げていた。この蘇鉄を気に入った信長は、自らの居城である安土城に移植するよう依頼した。

ところが安土城に移された大蘇鉄は、夜ごと「妙国寺に帰りたい」とすすり泣くようになり、家臣たちが切り倒そうとすると切り口から血を吹き出すようになったのである。さしもの信長もこれには参ってしまい、大蘇鉄は妙国寺に戻されたそうだ。

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