スプラッター&パニック要素を詰め込んだインド版チャンバラ映画『KILL 超覚醒』

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【やくみつるのシネマ 小言主義 第288回】『KILL 超覚醒』
インドの首都ニューデリー行きの寝台列車に総勢40人の凶悪な武装強盗団が乗り込んでくる。
乗客から金品を荒々しく奪おうとする集団のリーダーは、大富豪タークル(ハーシュ・チャーヤ)とその娘のトゥリカ(ターニャ・マニクタラ)に目をつけ、身代金目的の誘拐をもくろむ。
ところが、トゥリカの恋人で対テロ特殊部隊に所属する隊員のアムリト(ラクシャ)も乗り合わせていた。恋人の危機に怒りが爆発したアムリトは、圧倒的に数で勝る敵との全面戦争になだれ込んでいく。

敵をとことん血祭りにあげる

国際インド映画アカデミー賞5部門を受賞、ハリウッド・リメイクも決定という大変な鳴物入りで、今まで見たこともない新種のインド映画が上陸してきました。

邦題の『KILL』は「斬る」が正しいんじゃ? と思うほど、殺って殺って殺りまくる。

花菱アチャコ風に関西弁で「どないなってんねや、もう無茶苦茶でござリまするがな」というバイオレンスぶりです。

私としては「どんな審査をすると5冠になるんだ?」と思わずにはいられませんが、かの国ではきっと優秀な映画と評価されているのでしょう。

ニューデリー行きの長大な特急寝台列車が40人の強盗テロリスト集団に襲撃され、乗り合わせた特殊部隊の戦士アムリトが同僚隊員と2人で立ち向かうというストーリー。同乗していた最愛の恋人、トゥリカに魔の手が迫るや、アムリトはブチギレて完全にリミットが外れます。

自分が「日本のチャンバラ映画のようだ」と思ったのには理由があります。

車内には両側に二段ベッド形式の寝台が並んでいるため、間にある細い通路で相対するしかないんです。だから常に1対1での闘い。

で、何もそこまでと思うほど敵を血祭りにあげるんです。切られ役にも美学を感じるチャンバラ映画とは、そこは異なりますね。

1本の映画に、チャンバラとスプラッターとパニック要素などを詰め込んだ感があり、ま、そういうのがお好きな方には“ご馳走”な映画じゃないかと思います。

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