スプラッター&パニック要素を詰め込んだインド版チャンバラ映画『KILL 超覚醒』

監督が乗った列車に強盗団が乗り込んでいた経験がきっかけ

ただ一つ、“んっ?”と思ったのは、武装集団にまで「家族やその一族の絆」を放り込んだこと。

自分の兄や父など身内がアムリトに殺られると嘆き悲しむとか、そんなヒューマンな気持ちがあるんだったら、そもそもテロ行為はやめときゃいいじゃないかという話。

この映画のきっかけは、監督が乗った寝台列車にダコイトと呼ばれる列車強盗団が乗り込んでいた経験から発想されています。

監督が穏やかに眠っている隣の車両で、乗客の金品が巻き上げられていたそうです。

ダコイトなんて名前が付いているくらいですから、かの国では知られた存在なのでしょう。

自分も海外の辺境地を旅する際に、特急寝台列車を利用することがありました。

多くの場合、日をまたいで車内で過ごすのですが、食堂車に行っていろいろ飲み食いするのが楽しいですね。

南アフリカでは列車のベッドが、あまりに気持ち良過ぎて眠りこけてしまい、「何のためのオールインクルーシブよ! もったいない」とカミさんに怒られてしまいました。

『KILL 超覚醒』
監督・脚本:ニキル・ナゲシュ・バート
出演:ラクシャ、ターニャ・マニクタラ、ラガヴ・ジュヤル
配給:松竹
11月14日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

「週刊実話」11月27日号より

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。