「憎しみ合って別れたのではない…」小泉純一郎を異色の独身総理にした嫁と実姉の仁義なき確執

首相官邸HPより

永田町取材歴50年超の政治評論家・小林吉弥氏が「歴代総理とっておきの話」を初公開。今回は小泉純一郎(中)をお届けする。

家事は長女、政治は次女が仕切る女系家族

小泉純一郎と結婚した佳代子は、長男の小泉孝太郎(現・タレント)、次男の小泉進次郎(現・代議士)をもうけたが、3男を懐妊中に離婚を余儀なくされた。

結局、結婚生活5年に満たず破局に至ったのは、姑、小姑多き「女系家族」ゆえ、小泉家の人になれなかったことが原因であった。

それでも佳代子が嫁入りした直後は、表面的にせよ小泉家は「いい嫁がきた」と大いに歓迎していた。なぜならば、当時、明文化されていたわけではないが、小泉家には誰言うことなくの「嫁の条件20カ条」なるものがあったとされ、その「条件」をほぼ佳代子が満たしていたからである。

20カ条のすべてを挙げる紙幅はないが、おおよそ以下のような項目であった。

・語学ができること
・社交界に出られるようなタイプであること
・運転免許を保持していること
・年齢が若いこと
・政治に素人であること
・性格や気性がきつくないこと
・料理ができること
・和服が似合うこと
・身長は160センチくらいまで
・子どもをたくさん産めること
・ピアノが弾けること
・夫や小泉家に忠誠心を持つこと

こうした「条件」に合格した格好の佳代子ではあったが、元来、小泉家は「女系家族」としての結びつきが極めて強く、徐々に嫁の立場である佳代子には息苦しさが生じたようであった。

小泉家の内情を知る政治部記者は、こう語っていた。少々長いが、記してみる。

「小泉家には、防衛庁長官を務めた小泉純也夫妻の子どもが5人いた。長男・純一郎、次男・正也の男2人の上に、長女、次女、三女の女3人。家事のほとんどは長女の道子さんが仕切り、お嬢さん育ちの佳代子さんは出番がなかったといわれている。
また、三女の信子さんは小泉純一郎の秘書で、腹がすわり、選挙のノウハウもよく心得ているやり手だった。小泉が初出馬で当選して以来、政治家生活のイロハを手取り足取り教えたのも彼女だった。
小泉や信子さんは政治活動に忙しく、結局は佳代子さんを守ってくれる人が不在だった。ついには精神的にまいってしまい、手が震え、起き上がることもつらいほどの神経症、ノイローゼの症状も出たそうです。
それでも佳代子さんは、まだ乳飲み子だった長男の孝太郎を背負って、小泉の選挙区であるJR横須賀駅前に立ち、地元後援会へのあいさつ回りも懸命にやっていた。そうした選挙運動のスケジュールを組み、指示を出していたのも信子さんでした」

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