「憎しみ合って別れたのではない…」小泉純一郎を異色の独身総理にした嫁と実姉の仁義なき確執

キャッチボールで“弟を教育”

小泉が、友達とキャッチボールをしていた。信子は、それを傍らで見ていた。ところが、友達が緩いボールだけを投げているのが分かると、信子は友達に向かって「もっと速いボールを投げてあげて」と言った。

これに友達が応えて、次に速いボールを投げた。小泉がボールをそらすと、信子はこう言ったという。

「ダメじゃないのッ。それくらいのがきちんと捕れないようでは」

将来は小泉家の3代目として政治家となるべき男が、そんなひ弱なことでどうすると、信子がハッパをかけたのである。

こうした姉・信子による“弟・教育”は、やがて政治家としての小泉に「直情的な反骨精神」を生んでいくことになる。

それは5年5カ月の長期政権のなかで、随所に現れることになるのだった。

(本文中敬称略/この項つづく)

「週刊実話」11月13日号より

小林吉弥(こばやし・きちや)

政治評論家。早稲田大学卒。半世紀を超える永田町取材歴を通じて、抜群の確度を誇る政局・選挙分析に定評がある。最近刊に『田中角栄名言集』(幻冬舎)、『戦後総理36人の採点表』(ビジネス社)などがある。