史上初の退場、空白の1時間19分、「ロッテより弱い」野球ファン熱狂の日本シリーズ事件簿【昭和後期編】

「ロッテより弱い」に発奮の巨人が3連敗から逆転日本一

約75年の年月を誇る日本シリーズの歴史の中でも、1度しか実現しなかったのが巨人対近鉄というカード。その唯一の戦いで事件は起きた。

1989年10月24日の日本シリーズ第3戦(後楽園)、近鉄は先発・加藤哲郎が6回1/3を3安打無失点に抑え、3対0で巨人に快勝する。

前評判では有利と言われていた巨人が第1戦からまさかの3連敗、逆に近鉄は初の日本一に王手をかけた。

ところが、「巨人は(パリーグ最下位の)ロッテより弱い」という加藤のコメントがスポーツ紙に報じられると一転、巨人ナインが発奮。近鉄は第4戦からまさかの4連敗を喫した。

ヒーローから一転ヒール役になった加藤は、3勝3敗で迎えた同29日の第7戦(藤井寺)に先発し、2回に駒田徳広に先制ソロを浴びるなど、4回途中3失点で負け投手になり、皮肉にも巨人に逆転日本一を許すハメになったのである。

このコメントは“シリーズの流れを変えた世紀の大失言”として、今でも語り継がれている。

日本シリーズ珍事件簿2】へ続く