金正恩父娘「訪中記録映画」公開で北朝鮮全土に“失望感”が拡散か

AIで生成したイメージ
北朝鮮当局によって流布された記録映画が波紋を広げている。

9月3日の中国抗日戦勝80年式典に合わせて金正恩総書記が、娘の金ジュエ氏(名前は未確認)を伴い中国を訪問した様子を描いた約50分の記録映画を異例の速さで公開(同6日)した。

記録映画は、正恩氏が中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と並び立ち、自身初の多国間外交の舞台で活躍する姿を強調しており、体制と最高指導者の威光を国民に印象づける狙いが明白な内容となっている。

また、ジュエ氏が2日夕刻に北京駅に到着した際の姿、4日夜に北京を発った正恩氏が使う特別列車内での様子、5日午後に平壌駅に到着した模様を伝えている。

ところが、記録映画を見た国民は、中国との経済格差に愕然としたという。

「韓国のネット新聞『デイリーNK』が伝えた内部情報筋の話によると、映画を見た北朝鮮住民は、『中国は核兵器も近代兵器も備えながら国民生活も豊かにしているのに、我々はなぜ核開発の犠牲になり続けなければならないのか』という不満が噴出し逆効果でしかなかった。
9月28日に、崔善姫外相は北京で中国の王毅外相と会談し、経済援助を要請しましたが、全面的な協力を拒んでいます。
北朝鮮はウクライナ戦争に参戦した対価として、5月までにロシアから約3兆円を受領したとみられています。これはアジア最貧国の北朝鮮にとってはとてつもない大金ですが、相変わらず経済苦境は続いています」(北朝鮮ウォッチャー)

中朝貿易の拠点である北朝鮮の新義州では「国家にとってはロシア、住民にとっては中国」の言葉が飛び交い、住民たちは国境での通関緩和や物流拡大など具体的な変化を切実に待ち望んでいるとされる。

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