「推すなんて言い方は不遜だね」伊藤蘭ファン歴50年・石黒謙吾が見つけた“死ぬまでの目標”

「推すなんて言い方は不遜だね」

「それは最後の最後まで応援した証しとして、ランの葬儀を見届けること。ランは僕の6つ上だよ。人間の寿命は女の人の方が長い。
だから、僕が健康でいなければならないでしょ。ランが100歳でコンサートをやっても、94歳の俺が駆けつけてコールできるようにね。
いや、現実味はありますよ。今、ランは70歳。驚愕ですよ。信じられない。’19年。解散から41年、ランがソロデビューして、キャンディーズの曲も徐々に増えてきた。
最初こそブランクを感じたけど、驚くのはそこからどんどん上手くなって歌も踊りも今は現役時代と変わらない。相当練習をしているでしょう。本当にすごい!」

負けてなるものか。石黒はランのソロデビュー時に3度目のインタビューを行い、「歌はやり始めたからには続けたいです。どんな小さな場所でも」という決意を引き出し、「新生・全キャン連」の発展的組織「全ラン連」を発足させる。

「今は往年のファンだけじゃない。YouTubeを見て、その楽曲を好きになった若いファンが増えている。僕も仲間うちで年上の方になったからね。
『どうしてそれだけ長い時間、推し活を続けられるんですか?』って聞かれるんだよ。とんでもない! “推す?”応援させてもらっているのであって、推すなんて言い方は不遜だね。
あちらは神様。こっちはミジンコ。本物のスーパースターに“推す”なんて考え方は改めたほうがいい」

今も現役として50年ファンを続けてきた男が出せる迫力の物言いだった。

人生を懸けて応援できる存在に出会える人は少ない。それは運命か。最後に石黒はこんな話をしてくれた。

「32歳のとき、3歳で生き別れた母を探し出してね。会いに行ったんだ。家に帰ると父が言うんだよ。『伊藤蘭に似てただろ』と。昔の写真を見たら瓜二つでね。そういうことなんだ、ってエラく納得したよね」

(完)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」10月16日号より