「推すなんて言い方は不遜だね」伊藤蘭ファン歴50年・石黒謙吾が見つけた“死ぬまでの目標”

スーの葬儀には慟哭の青い紙テープがはためいた

全ラン連
この年。同窓会の成功と「新生・全キャン連」の発足で解散から30年という年月が流れても変わらない熱情を確信できた一方、抗いようのない老いと死の気配が視界を覆い始める。

’11年4月21日。スーこと、田中好子が亡くなった。55歳だった。

突然に訪れたメンバーの別れ。赤と青と黄の3色が揃うこと、キャンディーズが再び人前で揃う機会は、もう二度とないことは分かっていても、これで3人の中でも永遠に失われてしまうことを意味していた。

青山葬儀所で行われた告別式では全キャン連の旗を立て、集まったファンの人たちが出棺の際にスーのカラーである300本の青い紙テープを慟哭と共に青空に投げ入れた。

「本当にしんどくて、めちゃくちゃ悲しかった。それでもメディアから『全キャン連』代表に対する問い合わせ対応がすさまじくてね。当日は浅草橋に青い紙テープを300本買いに走ったんだ。
『不謹慎だ』って声もあったんだけど、大里さんも『やったらいいよ』と後押ししてくれてね。みんなで泣きながら、投げた、スーの青い紙テープ。本当に美しかったなぁ」

葬儀が終わり、石黒はずっと考えていた。12歳のときに初めて見た17歳の女の子を、その人生が終わるまで、応援し続けてきた。

「我が命尽きるまで〇〇だけ愛す」「生涯▲▲」、あの頃、日本中の多くのファンが熱中しては誓ってきた、その愛を33年貫くことができたのだ。これは、究極のファン冥利なのではないだろうか、と。

キャンディーズに捧げた人生。解散以来人生の目的にしてきた伊藤蘭にインタビューし、その胸の内を聞くことも3年前にできた。

あとは余生。もう思い残すことはないと達観していた石黒は、死ぬまでの目標というものを意識した。