「神の国」「寝ていてくれれば」「アレは事故でしょ」失言、放言のオンパレードだった森喜朗の素顔

田中真紀子「この政権はシンキロウ」

また、先の「神の国」発言は“憲法の国民主権の精神に反する”との大ブーイングを受け、「寝ていてくれれば」発言は無党派層の総スカンを食らって総選挙での苦戦に輪をかけ、「アレは事故でしょ」発言は、ついに退陣へのダメを押す格好になってしまった。

こうした言葉の「軽さ」に加え、政権の実体が明確に見えてこないことから、かの田中真紀子からは「この政権はシンキロウ(蜃気楼)」などと揶揄されている。「森喜朗」を音読みすると、なるほど「シンキロウ」と読めるのである。

さて、この森政権は前任の小渕恵三首相が突然の病魔に倒れ、再起の見通しがつかぬなか、時の青木幹雄官房長官、村上正邦参院議員会長ら自民党の重鎮5人による「密室」での話し合いで誕生した。

小渕は昏睡状態が続いていたが、どうしたものか医師団から国民への病状説明などは一切なく、突然、森の後継が発表されたのだった。

当時の小渕政権は自民、公明、保守の3党による連立政権だったが、どうやら先の「5人組」の思惑は、総選挙を経ての後継選出となれば自民党が混乱し、それによって公明、保守両党が動揺して連立が破綻しかねないところにあった。

つまり、まず連立政権の維持を最大目的に置き、小渕の後継として森を“強引かつ穏便”に担ぎ出したのである。

こうした経緯から国民も沸くことはなく、森内閣は当然のように低い支持率から出発した。また、森は時の幹事長であり、政調会長、総務会長の党3役を踏んでいたことから、「党務の人」の印象が強かった。