防衛産業に官民癒着が蔓延るワケ 安全靴からゲーム機、フィットネスバイクなど供与で93人を処分

「備品の供給が不十分」が最大要因

最終報告では「一部不履行等の不適切行為により原資をねん出する場合、特定の造船会社またはその下請け業者に要望品の調達を依頼することになる結果、納入される物品が競争価格よりも割高になる可能性がある」と指摘した。

調査では、潜水艦乗組員らに支給されている備品が不十分であるという根源的な問題も浮き彫りに。

調査に対し、潜水艦乗組経験者らは、業務に使う安全靴や雨衣・防寒具などの備品を防衛産業各社に求める理由として「官品は、30~40年間、デザイン・性能が変わらずボロボロで、更新要望しても在庫がないと言われるので、(要望しなければ)自腹で購入せざるを得ない状況である」「官品はスペックが低いうえ、経年劣化に伴い使用に耐えなくなるにもかかわらず、更新されない」と証言した。

防衛省側も調査結果では「要望に十分応えるものとなっていなかった可能性がある。今後、こうしたニーズに応えていかなければならないという観点から検討が不可欠」としている。

防衛省は、備品や個人装備の整備、調達の改善のほか、コンプライアンス教育の強化など再発防止策に乗り出すとともに、川重など4社に対し、厳重注意や注意の措置を取った。

最終報告では、「もともとは、海自における調達・補給手続きの問題点が長年改善されていなかったという事実が根底にあり、それが潜水艦乗組員をはじめとする艦船乗組員からの直接または監督官を介した不適切な物品要望につながり、その求めを断り難い造船会社をして不適切な物品提供をさせていたという構図が明らかになった」と自戒を込め、結論づけている。

緊迫する世界情勢下、日本の防衛力が心配になってくる。

「週刊実話」10月16日号より