防衛産業に官民癒着が蔓延るワケ 安全靴からゲーム機、フィットネスバイクなど供与で93人を処分

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海上自衛隊の潜水艦乗組員が、取引先の防衛産業各社から定期的に物品の提供を受けるという癒着が明るみに出た。

提供されたのは防寒具や工具、ケーブルといった潜水艦の業務に必要な備品に加え、ゲーム機、ゴルフのキャディーバッグ、ダイバーウオッチ、スケートボード、タブレットなど私的な物品にまで及ぶ。

悪習は約40年前から続いていたとみられ、防衛省は7月下旬、「防衛省・自衛隊への国民の信頼を失墜させた」として海自トップの海上幕僚長を減給、潜水艦乗組員らを訓戒などとする計93人の大量処分を発表している。

防衛省防衛監察本部の特別防衛監察の最終報告によると、防衛省が癒着を把握したのは、大阪国税局による川崎重工業への税務調査がきっかけだった。

2024年4月2日、大阪国税局から指摘されたのは「神戸造船工場において、潜水艦修理工事に関し、不適切な架空取引が行われており、その代金を原資として、潜水艦乗組員らに対してさまざまな物品提供等の便宜供与が行われている」との衝撃的な内容だった。

川重から連絡を受けた防衛装備庁は翌3日、調査に着手。5日には防衛大臣から防衛装備庁、人事教育局及び海上幕僚監部(海幕)に対し、調査や調査結果についての公表について指示があった。

海幕はアンケート調査を実施し、第三者的な監察組織である防衛監察本部による特別防衛監察も開始。ヒアリング対象者は764人に上った。

調査の結果、潜水艦乗組員らが、川重のほか、三菱重工業やジャパンマリンユナイテッド、佐世保重工業から長年にわたり、物品の提供を受けていたことが判明。川重以外の3社は業務に必要な備品の提供にとどまったが、川重は私的物品の提供に及んでいた。

「乗組員らが各艦のパート長などを介して、欲しい物品を要求するという組織的な癒着が繰り返されていたことも明らかになりました」(全国紙社会部記者)

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